予防接種や子育てイベントの日程も全て翻訳する

その後の子供の発育、発達を確認する乳幼児健診は、1歳半、3歳にも行われた。

「子育てでいらいらすることはありますか?」

「子供育ててストレス? ないよ。大変だけど、ストレスは無いよ。毎日、子供見てて楽しい」

事前に送られてくる予診票を僕が読んで、ミカが答えていく。

普段の生活で、夫婦で子育ての悩みについて話し合う機会は少ないが、こういう時、ミカがどういうことを考えているかが僕にもわかる。

健診も母に連れていってもらった。身体測定、歯科検診、視覚検査などを行い、子育てのアドバイスも貰える。母も一緒に話を聞き、ミカが日本語を理解していない時は、ゆっくり簡単な言葉に直して説明する。

「ちょこっと体小さいけど、後は問題ないって。安心した」

健診の時に、ミカも子育ての相談ができる。「心配ないですよ」と聞くだけで、安心する。

健診や予防接種以外でも、母はミカと子供をよく外に連れて行ってくれた。

市の広報紙に書かれている子育てイベントをチェックしては、ミカと子供を誘って連れて行く。絵本の読み聞かせや、子供たちのダンス、体操教室など、楽しそうに遊んでいる動画が僕のスマホにも送られてくる。

運動会
写真=iStock.com/clumpner
※写真はイメージです

家のカレンダーには予防接種や健診、子育てイベントの予定がぎっしりと英語で書かれている。これもミカが読めるようにと、母がスマホで翻訳して書き込んでいた。

「明日はダンスのイベントだね。持ち物はお母さんがLINEしてくれてる。朝迎えに来るから、準備して待たないとね。来週は予防接種。毎週忙しいね」

ミカも事前に予定を把握して準備をしていた。母のおかげで、ミカはこうした子供が無料で利用できる施設に行ったり子育てイベントに参加できた。

周りからは、ミカが母に頼りすぎ、母がミカにお節介を焼きすぎと見えるかもしれないが、お互いに良い距離感のようだし、何より2人とも子供のためにと思ってのことだ。

「子供の為なら何でもやるよ」と、今でも2人とも口を揃えている。