連盟の「変態性欲ファイル」に書かれた7800人分の名前

タイム誌によるとBSAは、以前から小児性愛者の存在を認識してきたようだ。団体内で「Pファイル」あるいは「変態性欲(Perversion)ファイル」と呼ばれる文書があり、そこには7800人の加害者の名前が並んでいたという。

ところが同誌は、この数でさえ実態には遠いおそれがあると指摘する。最近名乗り出た被害者たちの事例と照合すると、新たに判明した加害者の90%は、このリストに掲載されていないことが判明した。単純に比率を適用すると、実際にはこれまで判明している7800人の10倍の加害者が存在する計算だ。

また、事件のデリケートな性質上、被害をまだ告白できていないスカウトたちも多く存在すると思われる。チャイルドUSAは、性的虐待を受けたスカウトたちが被害を告白できるのは、平均して29年後であるとの調査結果をまとめている。

被害者の生活は、性被害を契機に一変している。チャイルドUSAによると被害者の99.7%が、虐待が生活に長期的な悪影響を及ぼしたと回答している。半数を超える59.4%が、アルコールや薬物の乱用に苦しんでいると答えた。また、76.5%は、親密な関係を築くことに恐怖を感じているという。

同調査によると、加害者は主にリーダーである模様だ。加害者の82.0%がリーダーであり、未成年のスカウトが加害者に回る事例は3.8%に限られる。近年ではBSAは女性スカウトの加入も受け付けているものの、報告されている事例はほぼ男性の同性間での性的虐待となっている。

ガラスのドアの後ろに少年
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被害申し立て8万件超、賠償額は3300億円に上るとの指摘も

BSAに対しては数十年前に遡り、性的虐待を受けていたとする訴訟が相次いでいた。同団体は2020年2月、米連邦破産法11条の適用を東部デラウェア州の裁判所に申請した。裁判所の命令で債権の取り立てが停止され、被害者との和解に向けた協議を進めていた。

BSAは4月19日、連邦破産法第11章から脱却したと発表した。事件の生存者の85%の支持を得、裁判所が承認した再建計画に基づき被害者への補償基金が設立されるという。

ただし、BSAの進む道は依然として険しい。ペンシルベニア州立大学のマリー・ライリー教授(法学)は、米メディアのカンバセーションに寄稿し、事件を解説している。