米シンクタンク「シャワー室や教会地下に連れ込んでいる」

こうした性的虐待は、個々のリーダーが個人的な性的欲求を満たすために行った行為であり、BSAとして組織的に実施したことではない。

しかし、多発する告発を受けてチャイルドUSAは、「我々の主な調査結果として、ボーイスカウトは安全でない環境を子供たちに提供してきた」とも指摘している。

報告書は、自然探索やサバイバルスキルの開発というねらいは「立派である」と肯定しながらも、「限られた大人たちしかいない自然の中に子供たちを連れ込み、監視もなく子供たちを保護するスペースもない。子供たちを弱い状況に置き、加害者からの虐待を受けやすいシナリオにさらしたのである」と糾弾している。

チャイルドUSAは報告書を通じ、「スカウト活動で子供たちは、大人たちがいる安全なコミュニティから連れ出され、シャワー室や教会の地下室などの共用空間に連れ込まれ、州境を越えて自宅から遠く離れた場所に連れてこられる」と述べ、無力な状況に置かれることが日常茶飯事になっているとも非難した。

ボーイスカウト
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ベッドに横になるよう促し、「セックスについて教えてあげる」

事例は枚挙に暇がない。AP通信は4月22日、東海岸デラウェア州の元リーダーが、児童に対する連続性的虐待で起訴されたと報じた。ニューアーク警察によると、現在66歳の男性被告は、1980年代後半にスカウトへの性的虐待を繰り返していたという。

元リーダーは少年を頻繁に自宅に招くようになり、家庭の事情を抱えていたこの少年の後見人となって、最終的に少年を自分の家へと引っ越させた。ニューアーク警察は「犯行回数は数百回に及ぶと見込まれる」と発表している。

同件を報じるタイム誌によると、被害少年は当時12歳だった。当時の隊長だった被告は、方位磁針の使い方やキャンプでの火の起こし方を教えたのと同じ要領で、セックスについて教えると持ちかけたという。そして、自宅に招き、ベッドに横たわるよう促した。

被告は「セックスについて学べる、よくある方法だよ」と説き伏せたが、「だけど僕がやっていることを、親には言うなよ」とも釘を刺したという。ひととおり猥褻な話を済ませると、自身のズボンを下ろして自慰行為にふけり、終わると部屋を出て行った。

被害者の少年は4年後の16歳になるまで、両親にさえ被害を打ち明けられなかったという。「ただただ家に帰りたかったです」と当時の恐怖を語る。