※本稿は、嶋津良智『話し方の一流、二流、三流』(明日香出版)の一部を再編集したものです。
親友には「公開された自己」がたくさん存在する・関係性の構築
二流は、自分を装い、
一流は、自分をどう語る?
あなたにも親友がいますよね。その人とは、なんで親友になったのですか? あなたの周囲には仲の良い恋人やご夫婦がいますよね。なんでその二人は仲が良いのだと思いますか?
それは、相手も知っていて自分も知っている「公開された自己」が、お互いにたくさん存在するから、親友だったり仲の良い夫婦だったりするんじゃないでしょうか。
「ジョハリの窓」という心理学モデルがあります。これは、自分と他人の間で、どのような人物像を共有しているのか、あるいは共有していないかというものです。
私は、摩擦を恐れずに話をして、「開放の窓」をできるだけ増やすことが、好き嫌いにとらわれずにコミュニケーションを深める秘訣だと考えています。
以前、私のチームに、明らかに浮いていた人がいました。私も正直に言うと彼のことが苦手でした。このままではコミュニケーションを避けてしまうと思って、意識的に話をするようにしていました。
するとあるとき、彼は思いも寄らない話をしてくれました。自分には小学生の時に、両親に捨てられた過去があった、と。彼と弟は親戚の家に引き取られていじめにあい、弟は中学の途中で耐えきれず蒸発。彼は中学卒業と同時に、新聞配達で食い繋いできたといいます。
その話を聴いて私は
「今の話を聴かせてくれてありがとう。こういっちゃなんだけど、だから○○くんはひねくれてるのか。でも、これ、誉めてるんだよ。俺に話してくれて、ひねくれた理由も、ただの嫌なやつじゃないこともわかって、俺はお前のことを好きになったんだ。皆にもその話をしたほうがいいと思う」
その後、タイミングに恵まれ、彼は仲間の前でその話をしました。もともと良いチームだったのですが、そこに彼もなじめるようになったのです。