バッタからムカデへ。高頻度で短時間のミーティングを
そこで、ミーティングのやり方を根本的に変更しました。多い時は週に2~3回。
少なくとも最低毎週1回はミーティングを行うのです。
また、難所にぶつかっているメンバーの場合には、それこそ毎日のミーティングも実行します。いつでもチョコチョコとメンバーの周りを動いているような芋虫、ムカデ型のミーティングです。
頻度が高い代わりに一回当たりの時間は短くすることで、メンバーのストレスを減らすようにします。新しいメンバーと組む時は、「私のミーティングは高頻度短時間なんで、チョコチョコやります。よろしく!」と最初に宣言していました。
なぜ、そんな高頻度で行う必要があるのか? 前回のミーティングの記憶が鮮明なうちに次回を設定したいという消極的目的もありましたが、一番大きな理由はリスク・マネジメントです。
いくらもっともらしい仮説を作ったところで、その仮説がそのまま検証されて順調に進むとは限りません。違和感が生じたらすぐに仮説を修正する必要がありますし、大きなプラン変更が必要になることもあるでしょう。顧客の反応も気になります。
それなのに、1週間も2週間も放置していたら、軌道修正はその分遅れてしまいます。結局、メンバーを無駄に働かせることにもなってしまいます。
チームメンバーの顔を見て話すことの重要性
メールでの報告ではなく、対面でのミーティングにこだわりました。メンバーの「顔」を見るためです。
コミュニケーションは言葉よりも表情や態度のほうが多くの情報を伝えてくれます。
もし、メンバーが与えられた仕事や仮説に違和感を持っていたり、進め方がわからなくなっていたら、それは顔に出るはずです。
ちょっとでも表情に違和感があれば、こちらから聞いてみます。メンバーは、一人で「ああだこうだ」悩みがちで、なかなかマネジャーにまで悩みを持ち込んでくれないものですから、こちらから違和感を発見して悩みを引っ張り出すのです。
昨今はオンラインの仕事も増えていますが、オンラインミーティングでも顔は見ることができますから、同様に違和感を見つけ出すことができるでしょう。
リスク・マネジメントの要諦は、小さなリスクの種や兆しを嗅ぎ分けて、まだ小さいうちにリスクの芽を摘むことにあります。そんな兆しは、経験のあるマネジャーでないとわかりません。少なくとも、メンバーよりは嗅覚が働くはずです。
顔色がすぐれない原因が、個人的な事情であったりキャリア上の悩みであったりする時もあります。仕事には関係ないとはいえ、マネジャーはそうしたことの面倒も、できることであれば見てあげる必要があります。
そうしないと、良いパフォーマンスで仕事をしてもらえませんし、当人にも成長してもらえません。第一、一緒に仕事をするこちらも楽しくありません。
「ウェルビーイング」を大事にする世代をマネジメントするに当たり、これは決定的に重要なことです。