チーム内で効果的なコミュニケーションを取る方法は何か。元グーグルの人材開発責任者で経営コンサルタントのピョートル・フェリクス・グジバチさんは「マネジャーと部下の1on1をかしこまってやる必要はない。一緒にランチに行ったり、移動中の車内であったり、ちょっとした空き時間を利用して雑談することが大切だ」という――。
※本稿は、ピョートル・フェリクス・グジバチ『世界の一流は「雑談」で何を話しているのか』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
「1on1」ミーティングは雑談だけで事足りる
日本企業の「1on1」ミーティングは、あらかじめ時間と場所を設定して、マネジャーとメンバーが「かしこまって」向き合うケースがほとんどです。
お互いが緊張した状態で手探りの会話をしていますから、このままの状態で続けていても、いつまで経っても成果は上がらないように思います。
僕の会社では、あえて「1on1」の機会を設けず、日常の雑談の中で、社員の「どうなりたい?」、「どうしたい?」という気持ちを聞くようにしています。
一緒にランチに行ったり、移動中の車内であったり、ちょっとした空き時間があれば、それを利用して雑談をします。
フォーマルな「1on1」であれば、メンバーはマネジャーが求めていると思われる模範解答を準備して、無難にその場を乗り切ることを考えますが、日常的な雑談であれば、そこまで難しく構える必要はなくなります。
一度の雑談ですべてを完結させようとするのではなく、時間や場所、タイミングを変えて、様々なアングルから何度も繰り返し話を聞くことで、ようやく本音らしきものにたどり着くことができるのです。
「キャリア・カンバセーション」も雑談で対応できる
「1on1」だけでなく、「キャリア・カンバセーション」も、雑談によって柔軟なスタイルで実施することができます。
キャリア・カンバセーションとは、マネジャーとメンバーが「仕事観」や「期待値」などを共有して、お互いの理解を深め合いながら、キャリアへの意識を育んでいくことです。
海外の企業や外資系企業では一般的ですが、日本でも大手企業だけでなく、社員を資産と考えて大事にしている中小企業でも実施する会社が増えています。