キャリア・カンバセーションの主なテーマは、次のようなものです。

・現在、何に興味や関心を持っているか?
・短期と長期の将来についての希望
・現在の目標や実現可能なキャリアの選択
・目標を達成するための準備や具体的なアクションの構想

相手が「どう考えているか?」を知りたいと思っても、「さぁ、今日はあなたの将来の話をしましょう」とフォーマルな形で1回だけ聞いたのでは、相手が身構えてしまいますから、必ずしも本心が聞けるとは限りません。

具体的なプランやアイデアがなくて、その場しのぎの答えを探し出す可能性があったり、今は時間的にも気持ち的にも余裕がないとか、場合によっては「今はその話をしたくない」など、様々な事情もあります。

メンバーのキャリアは、お互いにとって大事なテーマですから、何度も繰り返して話し合う必要があるのです。

雑談の折に軽くテーマを振っておいて、次の機会に改めて聞くようにすれば、相手が考える時間を作ることができます。

しっかりとテーマと向き合うことで、本人が自覚していないようなことに気づくチャンスも生まれます。

この他にも、マネジャーが日ごろから雑談を心がけていれば、社内の情報収集やメンバーのモチベーションの向上、コーチングなども可能になります。

どこの企業でも、マネジャーは忙しくて時間がないはずですから、雑談を有効に活用すれば、一石二鳥どころか、一石五鳥くらいの効果が感じられると思います。

明確な目的を持って、日常的に雑談をする習慣を作る

「上司が関心を持って、自分に目を向けてくれている」と気づくことは、非常に心強い反面、あまりにもそれが露骨な場合は、逆に不信感につながる危険性があります。

「この人は、何のためにそんなことを聞くのか?」
「それを聞いてどうするつもりなのか?」

こんな猜疑心を持たれないためには、その雑談の意味合いとか、目的を明確に持ちながら、適切なタイミングを見計らって、適切な言葉を選ぶしかありません。

少し乱暴な表現をするならば、部下のコンディションを把握して生産性をアップさせるためには、多少のリスクは覚悟する必要があります。

なぜ日本人が雑談で天気の話をするのかといえば、お互いに共通する話題であるだけでなく、リスクが低いからです。

天気の変化
写真=iStock.com/SonerCdem
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「今日は暑いですね」と言われて怒り出すような人はいませんが、相手の本音を聞き出すこともないのです。