仕事のできる人は雑談で何を話しているか。元グーグルの人材開発責任者で経営コンサルタントのピョートル・フェリクス・グジバチさんは「日本のビジネスパーソンの半分は『事前準備』が全くできておらず、少し調べたらわかるような質問をすることも多い。欧米の一流ビジネスパーソンは担当者が何を求めているかを調べて、ピンポイントで照準を合わせ武器を用意している」という――。

※本稿は、ピョートル・フェリクス・グジバチ『世界の一流は「雑談」で何を話しているのか』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

欧米の一流は周到な「準備」をして雑談に臨む

欧米の一流のビジネスマンは、しっかりと事前準備をして雑談に臨んでいます。

IRレポートなどを読み込んで相手先の会社の経営状態や業績の実績、今後の見通しを知っておくことは当然ですが、SNSで近況を検索したり、同僚や友人、知人を通じて、「相手はどんな人なのか?」という情報を徹底的に調べた上で対峙たいじしています。

事前に「武器」を準備して、雑談のストーリーを描いているのです。

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例えば、自社のプロダクト(商品)を相手先にプレゼンテーションする場合を考えてみましょう。

欧米の一流ビジネスマンは、スライドやパワーポイントで作成したプレゼン資料を準備するだけでなく、相手企業に関する業界ニュースなどに目を通して現状を把握するのはもちろん、担当者の仕事との向き合い方や考え方、家族構成、趣味・趣向などを徹底的に調べ上げて事前準備を整えます。

その担当者にピンポイントで照準を合わせて、武器(雑談)を用意するのです。

・どんな情報を求めているのか?
・何を知りたがっているのか?
・何を心配して、何を不安に思っているのか?
・どんなプロセスでプレゼンすれば納得するのか?
・相手はどのタイミングで意思決定をするのか?
・最終決定は誰がするのか?

こうした視点から総合的に判断して、適切な雑談をスタートさせます。

「ご長男の太郎さんは来年には中学生になられるそうですが、受験はされるんですか? 最近の中学受験はこんなことがポイントになっているようですね。そのための準備としては……」

相手が最も関心を寄せている話題について、有益な情報を提供することで、「信頼」「信用」「尊敬」を得るための第一歩を踏み出しているのです。

僕が大切にしている英語の名言に「I'd like to finish my work before I start it」というものがあります。

「仕事を始める前に、それを終わらせるのが好き」という意味ですが、世界で活躍するビジネスマンは確実に成果を得るために、周到な準備を整えて相手と向き合い、本題に入る前に仕事を終えてしまう……くらいの覚悟を持って雑談をしているのです。