日本のビジネスマンの50%は「事前準備」をしていない

正確な統計データがあるわけではなく、あくまで個人的な印象ですが、日本のビジネスマンの半数くらいは何の準備もせずに雑談をしているように思います。

ほとんどの人は、必要最低限の事前準備はしているものの「細切れ」の情報を投げかけることが多いため、ラポールを作れる状況には、あまりならないように感じています。

僕の会社を訪ねてくるビジネスマンの多くは、僕を説得して協力を頼みたいとか、何らかの目的があるはずですが、予備知識を持ってやってくる人というのは、それほど多くないようです。

僕の著書を読む時間がなかったとしても、事前に5分くらいネット検索をすれば、いろいろな情報を得ることができます。

最低限のことだけでも知っておいてもらえると助かるのですが、開口一番「お国はどちらですか?」と聞かれたり、「和食は好きですか?」と尋ねられるのでは、こちらのモチベーションにも影響します。

「和食が嫌いなら、23年も日本にいませんよ!」と無愛想に言いたくなるのを我慢するのが大変なくらいです。

伝統的な和朝食
写真=iStock.com/Tamiko Ihori
※写真はイメージです

日本のビジネスマンでも、仕事ができる人は事前に情報を集めて、鋭い質問を投げかけてきます。

「この本にはこう書かれていたのですが、私はまったく違う見方をしています」

こんな話が飛び出せば、僕としては、思わず身を乗り出して真剣に話に耳を傾けます。

「なるほど、それは面白い考え方ですね」

こうして雑談が始まれば、短時間のうちに「この人は仕事ができそうだな」とか、「信頼できそうな人だな」と思えるようになり、お互いがリラックスして本題に入ることができるのです。

人によっては、面談の前に電話やメールで連絡をしてくることもあります。

「明日、1時間いただくことになっていますが、その前にひとつだけ確認しておきたいことがあります」

事前に疑問点を明らかにして、適切な情報を整えようとしているのです。

こうした工夫ができる人は、例外なくいい仕事をしています。

できる人ほど、前もっていろいろ調べて、有益な情報をもたらしてくれます。

「何のために相手に会うのか?」を見つめ直す

雑談を苦手と感じたり、どうも上手くいかないと思っている人の多くは、その意図や目的を見失っているため、本質的な会話ができていないように思います。

雑談で何を話すかを考える前に、「何のために相手に会うのか?」という根本的なテーマを改めて確認する必要があります。

・今日、相手に会う目的は何か?
・お互いに何が知りたいのか?
・どんな関係性を作りたいのか?
・その関係性は短期か長期なのか?
・相手は何を理解すれば納得するのか?

テーマの整理ができれば、俯瞰ふかんして考えてみたり、長期的な取り組み方を考えるなど、相手との接し方を工夫することができます。

そこがわかれば、雑談の準備も方向性が見えてきます。

その日の「本題」ばかりが気になって、こうした視点を見落としているケースが意外と多いように思います。