あなたがバタバタしていると、メンバーも声をかけづらい
高頻度にミーティングを行うことのもう1つの意味は、「メンバーがマネジャーをいつでもつかまえることができる」機会と環境を作るということです。
メンバーがトラブルに直面した際、あるいはトラブルの芽を感じ取った際、マネジャーがすぐに相談に乗れればいいのですが、実際にはいつも余裕含みでメンバーが駆けこんでくるのを待っていられるようなマネジャーは多くはないでしょう。上司に呼ばれ、顧客に呼ばれ、トラブル処理に大わらわなはずです。
しかし、一日一回、短時間でもメンバーと顔を合わせる時間を持てば、彼らも気軽に相談ができます。もちろん、こちらが「仮説はどうだ?」「分析はどうだ?」「顧客の反応は?」「大丈夫か?」などと声をかけてもいいでしょう。
とにかく、メンバーの顔を見ること。それが、最大のリスク・マネジメントであり、ムカデ型ミーティングの最大の目的なのです。
ミーティングは最長でも30分一本勝負で
ミーティングにかける時間は、長くて30分というところでしょう。高頻度であればいままでの議論を復習する時間も不要ですから、自然と時間も短くなります。
ただ、短時間であることのより大きな意味は、「頭が高速回転する時間以上の長さのミーティングをやってもしょうがない」ということです。
どんな人間でも、集中力が続く時間は限られています。居眠りをする人がいるようなミーティングは、そもそも無駄です。しかも、マネジャーは「ブレインジャック創造思考」でメンバーの話を聞く必要があるのですが、これは想像以上に疲れるものです。
メンバーの話を聞いて、質問をして、自分の頭の思考領域を拡大させていくためには、頭をフル回転させなくてはなりません。私は、毎回30分が限度でした。
昨今のコロナ禍により、直接顔を合わせる機会がめっきり減っている会社も多いはずですが、それでも私は顔を合わせることにこだわってほしいと思います。オンラインでも顔が見えれば十分代替できます(私はオンラインでのテレワークに肯定的です(※2))。
※1 参考「任せて任せず――人の育て方、活かし方(3)」(ウェブサイト「松下幸之助.com」)
※2 参考「ビデオ会議、対面に代わるか」(鶴光太郎、日本経済新聞、2020年9月16日)