「考えた時間」よりも「思考量」が大事

そもそも「量」について正しく理解する必要があります。「量をこなす」といっても、単に長い時間をかけることではありません。「量をこなす」とは「思考量(考えた量)を最大化する」ということであって、「考えた時間」が長いか短いかは関係ありません。

その時どきの集中力に左右されますが、ある事柄について15分間のうちにアウトプットできる量は、人によって大きく異なります。

【図表】「量をこなす」とは「思考量(考えた量)を最大化する」ということ
出典=『「考えるスキル」を武器にする』(フォレスト出版)

おそらく、考えることが苦手な人とかなり得意な人とでは、最大で100倍くらいの差がつくのではないでしょうか。

なぜ「考えた量」が重要なのかというと、同じことを考えつづけても意味がないから。実は、「考えることが苦手」と言う人のほとんどは、頭の中で同じことを繰り返し“思っている”だけなのです。

そもそも「思う」と「考える」は別物です。多くの人はこれを知らないから、あるいは同じだと勘違いしているから、考えることが苦手なのです。

では、「思う」ではなく「考える」にはどうしたらよいのでしょうか?

解決策は「書くこと」です。紙でもPCでもスマホでもよいので、とにかく書く。それだけで、頭の中で思考を堂々めぐりさせることなく、考えられるようになります。なぜならば、人間は同じことを書きつづけることはしないからです。同じことを繰り返し書いてもムダだとすぐに気づきます。

たとえば、「日本の少子化がなぜ起こっているのか」について考えてみてください。まずは、5分間、頭の中で考えてから、考えたことを紙に書き出してみる。その次は、5分間のうちに頭に浮かんだことをリアルタイムに書き出せるだけ書き出してみる。

筧 将英『「考えるスキル」を武器にする』(フォレスト出版)
筧 将英『「考えるスキル」を武器にする』(フォレスト出版)

両者の分量を比較してみましょう。

おそらく普通の人だと、リアルタイムに書き出すほうが3倍くらい多くなったのではないでしょうか。もし、「同じくらいの量だった」という方がいたら、その方は「考えること」にかなり慣れている人です。

このように、「書くこと」で「まとめない」ようにでき、そして「書くこと」で「考えること」ができるのです。

「考えること」と「まとめないこと」のつながりをご理解いただけたと思いますので、さっそく「まとめないコツ」を紹介していきましょう。(以下、続く)

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