言いたいことを「簡潔にまとめよ」。社会人1年目の社員がしばしば注意されることだが、元電通社員のストラテジックプランナー筧将英さんは「プレゼンやビジネストークでは簡潔さは重要ですが、その前のよく考えるべき段階でまとめようとするのは百害あって一利なしです」という――。

※本稿は、筧 将英『「考えるスキル」を武器にする』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

ノートに「要点」と書かれ、その下には番号が振ってある
写真=iStock.com/Michail_Petrov-96
※写真はイメージです

言いたいことを「簡潔にまとめる」は本当に正しいか?

社会人になると、上司や先輩から「簡潔に伝えることが大事」と教わります。

確かに、誰もが自分の仕事で忙しいわけですから、相手の時間をムダにしないためにも、最初に結論を持ってくることで論点を明確にして「簡潔に伝える」ということは大切です。

また、人間関係を円滑にするという観点からも、よけいなことを言わず、必要なことだけを簡潔に伝えることは大切でしょう。

実際、多くのビジネス書を読むと、「報連相など伝えたいことはあらかじめ整理し、簡潔にまとめる」「最初に結論を伝えて論点を明確にする」「要点を3つにまとめる」など、「簡潔に伝える」ことの重要性が説かれています。

この本がビジネストークやプレゼンテーションがうまくなるための本であれば「簡潔にまとめる」方法をお伝えすればいいのですが、そうではなく「考えること」を身に付けるための本です。そして、「考えること」においては、「まとめること」は“百害あって一利なし”なのです。

ほとんどの人が「まとめながら考える」ことができますが、実はそうすることで「考えること」からどんどん遠ざかってしまうのです。これは多くの人がやってしまいがちな失敗です。

では、なぜ「考えること」と「まとめること」を同時にやってはいけないのでしょうか?