※本稿は、マックス・ルガヴェア、ポール・グレワル『脳が強くなる食事 GENIUS FOODS』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
脳を強くし、肥満を解消する食生活のガイドライン
『脳が強くなる食事 GENIUS FOODS』(かんき出版)の共著者であるポール先生はメディカルスクール時代に、ある問題を抱えていた。今や多くの西洋人に馴染みのあるもの、つまり肥満だ。
先生はその問題を解決すべく、栄養学と運動についてありとあらゆることを学んだ。あいにく、このテーマはメディカルスクールのカリキュラムではあまり重要視されていないのだ。彼が発見した事実は、1年もしないうちに体重が45キロも落ち、その状態がいつまでも続くという結果につながった。本書では、先生が実践したエクササイズと栄養学の情報も紹介している。
ここでは1つのガイドラインとしてまとめた「ジーニアス・プラン」の中から、オススメしたい食事のプランを提案する。
脳に最高のパフォーマンスを発揮させる重要なポイントは、栄養価の高い食品(卵、アボカド、緑の葉物野菜、ナッツ類など)を食べること。そしてホルモンの正常な分泌を阻害し、酸化ストレスや炎症を引き起こす食品(加工油脂、穀物を原料とする加工食品)を避けることだ。糖質たっぷりの加工食品や加工油脂に別れを告げれば、間もなく次のようなことが起こるだろう。
①体重が落ちる。
インスリンの分泌量がぐっと減るため、貯蔵されている脂肪をエネルギー源として燃やす代謝モードに変わる。インスリンは、脂肪細胞の一方弁のように働く同化(合成を促す)ホルモンだ。血液中のインスリンを減らすことが、脂肪を燃やすための必須条件だ。
②エネルギーとスタミナが増す。
普段から炭水化物をたくさん摂っている人は、糖分を摂ると気分がよくなることが多い。だとすると、糖はパフォーマンス増強剤になるのだろうか? 答えはノーだ! 糖分を摂って気分がよくなったとしても、それは単に糖質の離脱症状が収まっただけだ。糖質依存のサイクルから抜けだすことが、高いパフォーマンスを持続させる鍵となる。
③糖尿病予備軍やメタボリックシンドローム、本格的に二型糖尿病を発症するリスクを最小限に抑えられる。
膵臓のインスリン需要量が減ることにより、インスリン感受性が最適化する。
④すでに糖尿病予備軍か二型糖尿病を発症している場合は、炭水化物の摂取量が減ることによってインスリン抵抗性が改善する。
研究では、インスリン抵抗性のある人は、代謝機能が正常な対照群よりも脳にプラークの蓄積が多く、認知機能も低下していた。穀物を除いた食事(代わりに野菜や、身体にいい脂質を摂る)と、一般的な「抗糖尿病」食(パスタや低脂肪トルティーヤなども摂る)を比較した研究では、穀物を除いた食事のほうが健康状態を大きく改善することがわかった。
⑤終末糖化産物(AGE)の生成が減る。
AGEは、老化を加速させる毒性の強い生成物だ。目、腎臓、脳、肝臓、心臓が保護される、と聞いて心が動かなくても、皮膚のしわやたるみを防ぐ、と聞けば、きっとその気になるだろう!
⑥体内の炎症が減るため、炎症が引き起こす病状も和らぐ可能性がある。
炎症は、アルツハイマー病やパーキンソン病、ALSなど、多くの神経変性疾患に共通して見られる症状だ。炎症は老化を促す大きな要因となり、遺伝子レベルで作用して、あなたの見た目や気持ちを老け込ませるだけでなく、本当に実年齢より年老いてしまう。
⑦気持ちが晴れやかになり、社交的になる。
炎症は、「病者行動」を生じさせる。つまり、病状の悪化を防ぎ、癒やし、集団と距離を置く行動だ。この行動は認知機能の低下、うつ病、倦怠感、集中力の欠如、不安という形で表れやすい。
⑧空腹は過去のものになる。
普段から炭水化物をたくさん摂っていた場合、このプランにしたがうと人によって最初に頭痛が起きるかもしれないが、そのうちに治まる。常にブドウ糖をエネルギー源として補給している場合、そのブドウ糖を使い果たすと、脳は「燃料を補給しろ!」と叫ぶ。だが脂肪をエネルギー源として使う状態になると、身体は事実上、無制限に脂肪を蓄えられるようになる。つまり、エネルギーはいつも十分にあるのだ!
⑨野菜の摂取量がぐんと増える。
野菜とその栄養素を摂ると、脳の処理スピードが上がり、認知症の発症リスクが低下する。