糖類の摂りすぎは、人体にどんな影響を与えるのか。健康・科学専門のジャーナリストであるマックス・ルガヴェア氏と医師のポール・グレワル氏は「ブドウ糖の分子は、体内でタンパク質や細胞の表面に結合し、ダメージを与えて老化を促進する。特に怖いのは、一見、健康的に思える果糖だ。カリフォルニア大学の研究では、果糖を摂りすぎると認知機能が低下し、遺伝子を傷つけることもわかった」という――。
※本稿は、マックス・ルガヴェア、ポール・グレワル『脳が強くなる食事 GENIUS FOODS』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
「砂糖」はわかりにくい名前で使われている
先史時代と現代との大きな違いは、食生活のなかで炭水化物たっぷりの食品が脇役から主役に出世したことではないだろうか。
炭水化物が最も多く含まれている食品は精製糖だ。精製糖は今や、見たところは無害なジュースやクラッカー、香辛料から、見るからに害がありそうなソフトドリンクまで、あらゆるものに使われている。それとわかる食品をできる限り避けようとしても、炭水化物は目立たないように隠れることができる。
反肥満の研究者で改革運動者のロバート・ラスティグは、食品メーカーが砂糖を偽装するために使う56種類の独特の名前を特定した。まったく不可能ではないにしても、あなたがよっぽど熱心な探偵でないかぎり、成分表示のなかに添加糖を見つけるのは難しいだろう。
その、砂糖に代わるたくさんの名称のほんの一部を紹介しよう。
サトウキビ汁、果糖(フルクトース)、麦芽糖(マルトース)、右旋糖(デキストロース)、蜂蜜、メープルシロップ、糖蜜(モラセス)、しょ糖(スクロース)、やし糖(ココナッツシュガー)、玄米シロップ、果汁、乳糖(ラクトース)、デーツ糖、ブドウ糖(グルコース)、アガベシロップ、大麦麦芽、マルトデキストリン、コーンシロップなど。
現代の食生活において、糖はそれとわかる姿で出世したわけではない。小麦やトウモロコシ、米などの穀類や、ジャガイモなどの塊茎類、そして現代の甘い果物はすべて、デンプン質と糖をたっぷり含むように栽培されている。こうしたデンプン質は砂糖と違って見えもせず味もしない。だが、実のところブドウ糖(グルコース)が鎖のようにつながった構造をしており、植物の種子のエネルギーが詰まった組織に貯えられている。