調理で添加される糖はドラッグと一緒

添加糖(食品の製造や調理の過程で加えられる糖のこと)は、現代の食品供給において最悪の災いといっていい。

もともと糖は、食物繊維と水分、栄養素がひとまとめになった果物から、ほんの少し摂取するのが自然な形だった。それが、いつしか無数の加工食品や甘い飲み物に入れられるようになった。そしてアメリカ合衆国では、ようやく食品に加えられる糖の量を栄養表示に記載することが義務づけられた。もちろん万全とはいえないが、正しい方向への変化ではある。

食品に添加されている糖がオーガニックのサトウキビや玄米シロップに由来しているにせよ、メーカー秘蔵っ子の「高果糖コーンシロップ(high-fructose corn syrup:HFCS)」(ほかに果糖ブドウ糖液糖、ブドウ糖果糖液糖、異性化糖などの名称がある)に由来しているにせよ、はっきりしていることは1つ──添加糖の最も安全な摂取量はゼロだ。

糖を摂取する危険の1つに、脳の快楽中枢がハイジャックされる可能性が挙げられる。添加糖が使われている加工食品は、たいていは「ありえないほどおいしい」ため、報酬に関わる神経伝達物質のドーパミンがたちまち放出される。そして困ったことに、食べれば食べるほど、快楽を感じる閾値いきちは上がっていく。どこかで聞いたことがあるだろうか? きっとあるはずだ。

糖がドーパミンの放出を促す作用は、ドラッグの作用とよく似ている。実際に、実験用のラットはコカインよりも砂糖のほうを好む。そして、ラットはコカインが大好きだ。

おいしくてやめられないように作られている

ラットの実験から学んだことの一例として、果糖(フルクトース)は特にその摂取を促進する傾向があるという。同じカロリー量の果糖かブドウ糖を与えられた場合、ブドウ糖(ジャガイモのデンプン質など)を与えられたラットは飽満(満腹感を得ること)を誘発された。一方、果糖を与えられたラットは、もっと欲しがった。なぜか空腹感が誘発されたのだ。つまり、果糖が人間を過食へと向かわせるのかもしれないということだ(こうした食品を、リストアップしている)。

このような実験結果は大切だ。なぜなら、私たちはポテトチップスを一袋平らげたときに自分を責めてしまうからだ。身に覚えがある? 私もだ。スーパーの棚にスナック菓子のふくらんだ袋がずらりと並べられているのを目にしたときに誰も教えてくれないことは、そうした食品が食品開発の研究室で高給取りの科学者の手によって、やたらとおいしくなるように、もっと欲しくてたまらなくなるようにつくられていることだ。

塩、砂糖、油脂、そしてたいていは小麦粉が、最大の快楽をもたらすように混ぜ合わされ、脳の報酬系を人工的な「至福点」へと駆りたてる。それは規制されている薬物の中毒性といくらも変わらない。「開けたら最後。やめられない」という有名なキャッチコピーを覚えているだろうか? 今や、それは科学的な裏づけのある真実だ。

ジャンクフードを食べる女性
写真=iStock.com/Yuliya Apanasenka
※写真はイメージです