「国民の理解を得て徴収する」を裏切った

しかも、今年4月になってからは、受信料の不払いに対して割増金を取り、罰則を科すという暴挙に出ている。これまでは、このような罰則はなかった。今までは、これは訓示規定だった。つまり、守るに越したことはないが、破ったからといって罰するまでのことはないと規定されていたのだ。それを、支払わなければ罰するという罰則規定に変えた。これは、「あくまでも国民の理解を得て徴収する」というこれまでの暗黙の了解を踏みにじるものだ。

NHKは、国民が望んだわけでもないのに、勝手に業務を増やし、放送事業を拡大し、組織を肥大させて、その費用を半ば税金化した受信料の徴収という形で国民に負担させてきた。

テレビ放送が始まった1953年に200円だった受信料は、現在1260円とおよそ6倍になっている。前回の記事でも述べたが、そもそも国民の資産である電波を使わせてもらっているのだから無料であってしかるべきなのに、である。

だから、「NHKは将来、スマホやパソコンを持っているだけで受信料を取るようになるのではないか」という話が少々無理に聞こえても、国民は「NHKならやりかねない」と思うのだ。

そして、事実、これまでの経緯を見ても、やりかねないのだ。

そもそもなぜNHKは受信料を徴収できるのか

そもそも、一体、なぜ現在のような形の受信料が取られるようになったのだろうか。その際に、どんな根拠が挙げられてきたのだろうか。

現在の放送法が国会で議論され、受信料も問題とされていた1950年に、当時の網島毅電波監理長官は国会で次のように述べている。

今後民間放送が出て参りましたときに、放送協会の事業を継続する。しかもこの放送協会がもうかるともうからないとにかかわらず、全国的に電波を出さなければならないという使命を負わされた放送協会といたしまして、この聽取料の徴收ができない場合には、協会の事業は成立って行かないことは明らかでありまして、従ってぜひともこういう聽取料を強制的に徴收するということが必要になって参るのであります。

(中略)

無料の放送ができて来るということになると、日本放送協会がここに何らか法律的な根拠がなければ、その聽取料の徴收を継続して行くということが、おそらく不可能になるだろうということは予想されるのでありまして、ここに先ほどお話いたしましたように、強制的に国民と日本放送協会の間に、聽取契約を結ばなければならないという條項が必要になって来る。

第7回国会衆議院電気通信委員会議録第4号6頁(1950年2月2日)