いちばんムダがあるのは3つのうちどれ?

もっともムダがありそうなのは「情報の共有」パートです。実は、この部分は会議を開く前にメールで共有しておけば、最初から意見の表明に進むことができます。ただし、すべてをゼロにしなくともいいでしょう。この部分は短くなります。

2番目の「意見の表明」は、できるだけ参加者全員がしゃべるといいと思います。そして、この部分からムダを排除するとすれば次のようなことが考えられます。

ひとつは長々と同じことをしゃべる癖がある人には自覚してもらう。また、意見を述べたことがないにもかかわらず、「参加したい」と言ってきた人に、「出席しなくていいですよ」と伝えること。

ただ、どちらの場合も相手が上位職にいる人だとなかなか言いにくいかもしれません。ですが、会議を短くする、活性化させるためにはこうしたヒューマンファクターをチェックして、たとえ言いにくいことであっても伝えることが必要です。

「駆け足で」「端的に話せ」はNG

一方で、意見を述べ合う場では、違う視点から見た「変わった意見」を言う人がいます。その人は重要です。そういう意見はみんなでちゃんと考えてみる価値があります。

ただし、「変わった意見」とは違う視点から見たそれのことで、突拍子もない意見の開陳であってはならないと思います。

「ああ、こういう考え方もあるのだな」という意味で必要なのです。ただし、変わった意見は「合意の形成」の段階ではなかなか採用されることはないケースが多いともいえます。

また、会議のムダは中身よりも準備や進行のところにひそんでいると思ってください。肝心の中身である「意見の表明」に対して、参加者に「駆け足で」「端的に話せ」と指摘するのは間違いです。それは時間の節約にはなりません。ゆっくりしゃべってもらったほうが相手には伝わるのですから。

オフィスでミーティング中、立って発言する男性
写真=iStock.com/mokuden-photos
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会議の時間を短縮するコツは事前の準備、そして、会議の進行をチェックすることなのです。

トヨタが許さないふたつの「7つのムダ」

会議だけでなく、トヨタにはムダを排除するための指針がふたつあります。

それが「7つのムダ」です。

「同じタイトルの指針がふたつもあるのはムダじゃないか。どちらかのタイトルを変えるべきだ」と茶化す声が聞こえてきそうです。

しかし、「7つのムダ」は生産部門と事務技術系のふたつなのです。元々あったのは生産部門のものでした。

1. 作りすぎのムダ
2. 手待ちのムダ
3. 運搬のムダ
4. 加工そのもののムダ
5. 在庫のムダ
6. 動作のムダ
7. 不良を作るムダ

言葉通り、トヨタの生産現場ではこうしたムダを排除することを長年、やってきています。