トヨタ生産方式は事務職の現場にも使える

筆頭が会議のムダです。逆に言えば、トヨタであっても、まだまだムダな会議は多く、さらに会議のなかにムダがたくさんあるんですね。

幹部はこう言います。

「事技系職場のおける7つのムダについてはわれわれも気をつけています。調べてみれば事務の仕事もいくつかの工程に分かれています。工程にたまっている書類や情報もできる限りリードタイムを短くしていこうという目的で始めたのが事技系のカイゼン。トヨタ生産方式を利用したものです。

まさしくジャスト・イン・タイムなんです。かつ、工程ごとにきちんと後工程に送っていい品質基準を決めて作り込んでいく。そうして、手戻りをなくそうというのはまさに自働化で不良品の追放です。

われわれはそういうことを、事務部門にも他の部門にもきちんと入れていこうとして始めました」

オフィスに積み上げられた文書
写真=iStock.com/nirat
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「俺は聞いていない」と怒る上司もいなくなった

「例えば、僕のところに根回しのために一度見た資料が何度も来たりします。でも何度出してきてもダメなものはダメ。ムダです。また、会議で自分の上司の顔に泥を塗らないために、何を聞かれても困らないように分厚い想定問答とかを作ることもあったのですが、そんなものはほとんど使わない。

今までこうやってきたから、資料を作りましたというのも『マンネリ』のムダです。やっているフリをする、あるいはやっているつもりになる『ごっこ』のムダとか、そういうのは全部なくさないと。資料を書いたことで仕事を終えた気になる人がいますけれど、それもまさに『ごっこ』のムダ。

トヨタの役員会では資料はなしにして、全員が自分の頭のなかにあることだけで話します。しかし、そもそも会議とはそういうものではないでしょうか」

トヨタにもかつては担当者が一生懸命がんばっているにもかかわらず、俺は聞いてないからそんなことは認めないぞっていう上司が大勢、いたそうです。

しかし、不思議なもので、7つのムダを社内に貼り出して、徹底させたら、そんなことは言えなくなるわけです。

この7つのムダはどこの会社でも採用するといいのではないでしょうか。