軽自動車の値上がりが続いている。小型車との比較で価格面、税制面の優位性がなくなりつつあり、このままいけば日本独自規格の「軽」は廃れゆく運命なのか。自動車業界に詳しいマーケティング/ブランディングコンサルタントの山崎明氏は「サイズや排気量で規定するのではなく、燃費で規定するように変えれば、軽をはじめとする“超小型車”にまったくちがう未来の可能性が生まれる」という──。
道の駅・伊豆月ケ瀬で撮ったホンダN-ONEのフロント
写真提供=筆者
道の駅・伊豆月ケ瀬で撮ったホンダN-ONEのフロント

15年前の軽自動車を乗り換えるには何がベストか

わが家には妻がメインに使っている軽自動車が1台ある。2008年式の三菱アイで、三菱がダイムラー傘下の時代に開発されたからか、リアにエンジンを搭載するというスマートと同じユニークなレイアウトを採用しており、デザインも欧州車に通じる雰囲気があって非常に気に入っている。

すでに15年が経過しており、あちこちに劣化を感じるようになってきた。私も妻もほかにデザイン的に納得できる軽自動車がなく、今まで使い続けてきたわけだが、しかし15年となるとそろそろ買い換えを検討しなければならない。そこで候補車を考えることにした。

有力候補は、昨年4日間試乗して感銘を受けた日産サクラ(「『日産サクラを4日間実生活で使ってみた』プロが指摘する買ってもいい人、やめたほうがいい人の条件」参照)だが、電気自動車はまだまだ実用上の問題点も多く、スタイリングも妻の好みに合わないため、ガソリン車も検討することにした。

評判の良いホンダN-ONEを試してみる

現状新車で買える車種のうち、デザイン的になんとか妥協でき、車としての仕上がりが評判の良いホンダN-ONEを、ホンダのご厚意で4日間借りて使ってみることにしたのである。

ホンダN-ONEのリア(手前)
写真提供=筆者
三菱アイ(奥)の代替車になるだろうか。ホンダN-ONEのリア(手前)

軽自動車にはNA(自然吸気)とターボがあるが、NAは平地の一般道では良いものの、上り坂や高速道路では明確にパワー不足であり、現在のアイもターボモデルを選んでいる。そのためN-ONEのターボ車をリクエストしたところ、RSというトップグレードを借りることになった。

トランスミッションはCVT(無段変速機)である。私はCVTが苦手で、今までアイを買い換えなかった理由の1つでもある(アイは4速オートマチックトランスミッション)。

現在の軽のほとんどがCVTで、車検時に代車で何度か乗ったことがあったのだが、CVTは車速の変化とエンジン回転数の変化がリニアではなく、車速がコントロールしにくく感じられて避けていたのである。