「日本市場限定」が軽自動車の成長阻害要因
このようなことから、日本の軽自動車は事実上「日本市場専用車」なのである。つまり日本で売られている台数がすべて。その割には車種が多いので1車種当たりの生産台数は限られる。
一方、フィットやヤリスは世界的に売られている国際商品で、生産台数も圧倒的に多い。これが結果として1500ccのハイブリッド車と軽ターボ車がほとんど同じ価格、ということにつながっているのだ。
そもそも軽であっても、車体が小さいだけで必要な部品数はあまり変わらず、その部品のコストは生産台数で変わってくるはずである。そしておそらくそれが理由で、軽のハイブリッドが存在しないのだ(マイルドハイブリッドはあるが)。
本格的なハイブリッドを軽で作ろうとすると、スペースの制約もあるため専用設計となり、相当高価なものになってしまい採算が合わないのだろう。そのため、現在最も燃費の優れる軽自動車であるスズキ・アルト・マイルドハイブリッドでも、燃費は27.7km/Lに留まっている。
軽自動車に秘められた意外なポテンシャル
しかしこれは非常にもったいないことである。
ヤリスやフィットよりも小さく燃費の良い車の需要は世界的にあると思われる。にもかかわらず欧米メーカーはガソリンエンジン搭載のAセグメント、Bセグメントといった小型で安価なモデルは将来性・採算性が悪いという判断で、生産停止したり、モデルチェンジを中止したりしている。
その需要を埋めるポテンシャルがありながら、あまりにいびつな規格のために軽自動車は国際商品とはなり得ないのだ。
もう少し排気量を上げればもっと燃費が良くなる可能性があり、それにハイブリッドを組み合わせればヤリスを上回る燃費が達成できるのは間違いないだろう。