母娘同居なら貯蓄が底をつくのは長女87歳以降

私はいつも、現状が続いた場合のシミュレーションを作成して、相談者に見てもらいます。そして、その上でどのような対策ができるかを検討します。

「何かいい手立てはないものでしょうか?」

「今は、お母様はお一人暮らし。お嬢さんも一人暮らし。それぞれが別々に暮らしていますから、費用が余計にかかっています。今はお嬢さんも仕事がないのでしたら、戻ってきてもらって、ご一緒に生活されると支出が抑えられます」

「そうした方がいいんでしょうか」

母親は浮かない顔をしています。

「お嬢さんが戻ってきて、一緒に生活したら、どうでしょう。お二人の仲がうまくいかず、けんかばかりしてしまうようでしたら、お勧めはいたしません」

長女が離婚後に実家に戻らなかったという経緯がありますので、私は心配しました。

「そんなことはないのですが……うちに戻ってしまうと、再婚も難しくなるのではと、その点が心配です」

「それは今のままでも難しいかもしれませんね。むしろ状況を変えた方が、生活が改善され、活動的になれるのではないでしょうか」

次に長女が実家に戻った場合のシミュレーションを作成しました。親子で同居することで、月々の賃貸料が不要となるなど生活費が削減され、貯蓄の減り方が小さくなります。その結果、長女が働けなかった場合でもなんとか貯蓄を維持して生活していけそうです。貯蓄が底をつくのは長女が87歳以降との試算になります。

【図表】将来の家計の状況(親子同居のグラフ)
筆者作成

「そうなると、娘は働かなくなるのではないでしょうか?」

「その心配も、今のままでも同じでしょう。むしろ、安心できるとわかった方が、前向きに考えられるようになるかもしれません」

「私も年ですし、娘に戻ってもらえるのなら、その方が安心です」

「これからのことを考えると、一人暮らしよりもご家族が一緒の方が安心ですね」

「娘に考えてもらうように、話してみます」

親元で不自由なく生活できるから仕事もしないで、ひきこもりになってしまうのだ、という見方もあります。しかし、一人暮らしであれば、ひきこもりにならないとも限りません。一人暮らしだと生活が不規則になりがちですが、家族と同居した方が生活リズムをつかみやすいでしょう。そして、生活費の面でも、一緒に暮らした方が支出を抑えられます。

後日、母親から、長女と同居を始めたと連絡がありました。

まだ仕事を始めたり、出会いの場に出かけたり、ということはできないようですが、母親の買い物には付き合ってくれるそうです。こういうことの積み重ねが、やがて社会復帰へとつながってくれることを願っています。

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