もっと裾野を広げていきたい

――溝口さんが商品開発をされる中で大事にされていることは何ですか。

【溝口】私は「本当にこれが売れるのか?」と上司から繰り返し聞かれることが多かったんです。それは担当者に「本当に売れるのか」を考えさせるためで、おかげでいまもそれを自問自答する習慣がついています。

――今後の展開をどのように考えていますか。

【溝口】まだまだパンツにまでこだわるという男性は少ない状況です。レース柄はハードルが高いという声もあったので1月下旬にはペイズリー柄やカモフラージュ柄を出しました。裾野を広げてメンズインナーの市場を広げていけたらと考えています。

取材を終えて 桶谷功より
ジェンダーレスの流れの中で、男性の美意識をとらえた商品ではあるが、女性の美意識とはちょっと違う。
女性の美意識が「いとおしいキレイさ(いとおしい、かわいいと感じる繊細な美意識)」だとしたら、男性の美意識は「スペックにこだわったキレイさ(機能的なこだわり、理由を語れる美意識)」といえる。男性は、「それのどこがいいの?」と聞かれたとき、理由を語れることが大事だ。語れるストーリーがあるモノは、日用品ではなく、「男のギア」になる。ベビーカーでも抱っこひもでも、男性に人気があるのは機能的なこだわりをもった商品だ。レースボクサーでいうなら、「通気性が良い/エアリー」など、キレイなだけではない機能性が大事になる。
このようなターゲット(今回は男性)のインサイトを、しっかり見極めた上でモノづくりをすることが肝要だ。「売る」ではなく、「買ってもらえる」のはなぜなのか。自社の強みであるレース技術は、どういうインサイトをとらえたのか。その理解こそが、今後も継続的に事業を拡大し、ブランドを育成していくカギとなる。
(構成=長山清子)
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