いつまで「リークもぎ取り競争」を続けるのか
よその国と同様に、大手マスコミの記者でも、フリージャーナリストでも同じ条件下で、取材者としての力量だけで「スクープ」を狙う。「○○記者はうちの上司も気に入っているし、いつも麻雀付き合ってくれているから、このネタはそのお礼ね」なんて感じで、なし崩し的な「リーク」は価値がなくなっていくのだ。
しかし、残念ながら今の日本はまだ記者クラブという特殊な世界がバリバリに健在だ。一般庶民にはわからないこのブラックボックスの中では、クラブ記者たちが夜打ち朝駆けを繰り広げて、官僚と酒を酌み交わしながら「岸田政権の内部情報をいかにリークさせるのか」という熾烈な競争を繰り広げている。
今回のウクライナ極秘訪問における「リークもぎ取り競争」で勝利したのが、NHKと日本テレビだったというだけの話なのだ。
「報道のあり方」より記者クラブ制度に切り込むべき
3月27日、岸田文雄首相は参院本会議でウクライナへの訪問について報告した際に、政府の公表前に報道があったことを巡り「危険地での報道のあり方について、安全対策や情報管理の観点から不断に検討する」と述べた。
本来は「報道のあり方」でなく、官僚のリークの温床となっている記者クラブ制度に切り込むべき話なのだが、おそらく今回もそういう話にはならない。マスコミもこの部分は深く突っ込まれたくないところなので、いつものように問題先送りだ。
ということは、まだまだ官僚の「リーク」は続くということだ。解散総選挙を望む声も上がってきたことだし、政権与党内の足の引っ張り合いも始まるタイミングだ。
かつてのモリカケ問題のように、どでかい「政府の内部文書入手スクープ」が、どこかの新聞の一面を飾る日も近いのではないか。