チームワーク
できる部下の「承認欲求」も満たすべし
代表チームの特徴について、彼の口から出されたのがチームワークである。「常に強い『個』であることが要求される海外と違い、チームワーク重視という日本のやり方を楽しんでいるようにも思える」と述べている。
そして、個人の才能とチームワークは共存すると断言する。「抜きん出た個人の才能に頼っていれば、短期には結果を出すことができる。しかし、リーグ戦や大会などの長期になれば、チームワークの大切さが利いてくる」ものだ。ビジネスシーンにおいても同様のことが言えよう。
チームメンバーのモチベーションについてはどう考えているだろうか。何より大切なのは、「一人ひとりに目をかける」ことだという。「選手たちは(監督から)見てもらい、気にかけてもらいたいと思っている」。仕事のできる部下でも、上司から認められたいし、褒められたい。誰もが有する「承認欲求」を満たしてやるのが上司の役割だ。
コミュニケーション
才能を伸ばすには「指示」ではなく「対話」を!
コミュニケーションのとり方にも、日本のリーダーとは異なる点がある。ザッケローニ監督は、指示命令より選手とマンツーマンで対話することを重視している。選手の側からすれば、そのほうが監督にアプローチしやすい。
リーダーは学校の先生ではない。全体に向かって一方的に話すことは、指示を伝達するには効率的だが、時として、相手を無視(ネグレクト)してしまう。そして、個人をネグレクトすれば、発揮できたはずの個人の能力を潰してしまうことになるのだ。
ザッケローニ監督の下で、選手たちは活き活きとプレーしている。相手の心をつかむ人格者の下で、グローバルに活躍する若者たちが、「世界を驚かせる」。それが明日の日本代表の姿だ。
※すべて雑誌掲載当時
(撮影=若杉憲司)