全国の半数の県が「1行単独でも不採算」
同レポートでは、人口減少などにより、2行での競争が可能な地域は、宮城、神奈川、愛知、福岡など10府県、2行での競争は不可能だが、1行単独ならば存続可能な地域は、北海道、京都、愛媛、熊本など13道府県、1行単独になっても不採算の地域は、青森、富山、和歌山、島根、宮崎など23県となっている。
「最大の注目点は、この金融庁レポートの分析には地銀が抱える有価証券投資の損益は加味されていないことだ。この分析が公表された18年以降、地銀は細る本業の儲けを補完するために内外の有価証券投資を積極化させており、その評価損リスクがいっそう高まっている」(金融庁関係者)という。
「1県1行体制」の動きはすでに各地で起こっている。21年1月に新潟県の第四銀行と北越銀行が合併して第四北越銀行となったのをはじめ、同年5月には三重銀行と第三銀行が合併して三十三銀行が誕生した。同年10月には福井銀行が同じ福井県内の福邦銀行を子会社化している。
地銀の数は現在の半分では済まなくなる?
さらに22年4月に青森銀行とみちのく銀行が経営統合を行い、共同持ち株会社のプロクレアホールディングスを設立した。両行は25年1月をめどに合併し、「青森みちのく銀行」となる予定だ。
22年9月に八十二銀行と長野銀行が経営統合を発表、23年6月には八十二銀行が長野銀行を完全子会社化し、25年をめどに合併する予定だ。また22年10月には愛知銀行と中京銀行が統合し、持ち株会社「あいちフィナンシャルグループ」を設立、24年10月に合併する予定となっている。さらに22年11月には地銀グループ最大手のふくおかフィナンシャルグループが、同じ福岡県内の福岡中央銀行を完全子会社化すると発表したほか、横浜銀行が神奈川銀行を完全子会社化することを決めた。
金融庁内部には「地銀の数は現在の半分でいいのではないか」との意見も聞かれる。米銀の破綻は、いずれ日本では「地銀の再編」という形で顕在化しよう。