小説は書けるだろうが、試験なら不合格

GPT-3を用いた日本語のソフトも、しばらく前から利用可能になっています。

いくつかのキーワードを与えると(あるいは、元となる文章を与えると)、新しい文章を作成してくれるサービスが、ウェブにいくつか提供されています。著作権は利用者にあるので、書いた文章をウェブなどで公開することも可能です。

文学賞に応募することもできます。日本経済新聞社が主催する文学賞「星新一賞」は、応募資格で「人間以外(人工知能等)の応募作品も受け付けます」としています。

2022年に発表された第9回の応募総数は2603編。そのうち、AIを利用して作られた作品が114編ありました。そして、同賞で初めて、AIを使って執筆された小説が入選しました。

このようなニュースを読むと、私も、のんびりとしてはいられません。そこで、ウェブにある新しいサービスをいくつか試してみました。

確かに、文章を出力してはくれます。しかし、支離滅裂で、使えそうなものにはなりませんでした。関連のある単語を含む文章が出てくるのですが、文章間の関連が理解できず、読めば読むほど、頭が混乱します。

チャットGPT人工知能アプリのアイコン
写真=iStock.com/stockcam
※写真はイメージです

ChatGPTの可能性

GPT-3に、チャットの受け答えなどに関する追加の調整を行なって作られたのが、「ChatGPT」という言語モデル。文章で質問すれば、文章で答えます。小説のプロット作成、英会話の相手やプログラムコードの作成なども行なえるとされます。

大きな反響を呼び、サービス開始からわずか2カ月後の2023年1月に、ユーザー数が1億人に達しました。

登録すれば誰でも利用できるのでさっそく試したのですが、成績は芳しくありません。「公的年金のマクロ経済スライドとは何か?」と質問したところ、デタラメな答えしか返ってきません。「不満足な答え」というより、「まったくの誤り」です。試験なら零点で、不合格です。

ChatGPTはアメリカの医師免許試験(USMLE)やMBAのウォートン・スクールの最終試験に合格したという話があるのですが、日本語での成績は、まったくの期待はずれです。