同じ見逃し配信の「TVer」は人気なのに…

動画配信サービス市場が風雲急を告げている。

国内勢大手の「U-NEXT(ユーネクスト)」と「Paravi(パラビ)」を運営する「プレミアム・プラットフォーム・ジャパン(PPJ)」が3月31日に経営統合し、7月をめどにサービスを統合することになった。

U-NEXTの公式サイトによると、統合すれば有料会員数370万人超、売上高800億円強、配信コンテンツ35万本以上という、国内勢の動画配信サービスでは最大規模のプラットフォームになる。

NTTドコモも、現行の「dTV」を4月12日に新サービス「Lemino(レミノ)」に移行し、従来の2倍近くとなる約18万本の作品(ドラマ、映画、スポーツ、音楽など)を月額990円で提供すると発表した。

また、民放各局が共同運営する番組配信サービス「TVer(ティーバー)」(2015年スタート)は、23年1月の月間訪問者数が2708万UB(ユニークブラウザー数、会員数は非公表)と過去最高を更新したと発表した。昨年から各局の同時配信が始まったこともあり、右肩上がりの成長を続けている。

一方、国内のネット業界を牽引する「Zホールディングス(ZHD)」(川邊健太郎社長)は、傘下の動画配信サービスの老舗「GYAO!(ギャオ)」を「将来性が見込めない」として3月末に店じまいすることを決定した

同じ傘下の「LINE」のライブ配信サービス「LINE LIVE」と「LINE LIVE-VIEWING」も3月末でサービスを終了することを決めた。

統合するU-NEXTとParavi、新サービスに移行するdTV、成長を続けるTVer、サービスが終了するGYAO!と、明暗がはっきり分かれる形となった。

優位に立つ海外勢、国内勢の統廃合は避けられない

動画配信サービスにとどまらず、動画ビジネス全体をみると、国内の市場は活況が続いている。

無料サービスでは、グーグル傘下の「YouTube(ユーチューブ)」が圧倒的なシェアを誇り、メタ(旧フェイスブック)傘下の写真・動画共有サービス「Instagram(インスタグラム)」や中国発の動画投稿サービス「TikTok(ティックトック)」が急速に台頭している。