改正されれば愛子さまが皇嗣に

こうした、唯一の妥当かつ実現可能な解決策が実際に採用された場合、当然ながら現在の皇位継承順序は変更される。

皇室典範の第2条(皇位の順序)第1項には「皇長子」(第1号)を真っ先に掲げている。皇長子とは天皇の最初のお子様に他ならない。

しかし一方、皇位継承資格の「男系の男子」限定(第1条)という明治の皇室典範以来のルールが、“一夫一婦制”の下ではミスマッチなのにそのまま維持されているので、天皇陛下のご長女、敬宮としのみや(愛子内親王)殿下は除外され、本来なら後ろに回されるはずの傍系の「皇兄弟及びその子孫」(第6号)に該当する秋篠宮殿下と悠仁殿下が、皇位継承順位の第1位と第2位に位置付けられている。

ところが第1条が上記のように改正されると、天皇陛下のお子様でいらっしゃる敬宮殿下が第1位(皇嗣)となられる。その場合、敬宮殿下は「皇嗣たる皇子」に当たるので、「皇太子」とされる(第8条。「皇太子」という称号は男女に関わりなく用いられる)。

衆参両院の議決によって、このような改正をいつでも行うことができる。しかし一部の反対を恐れて、長年にわたってその手前で足踏みを続けてきたのが、実情だ。

有識者会議報告書は「最悪の提案」

今、政府が国会に検討を委ねている有識者会議報告書のプランは、残念ながらほぼ最悪の提案と言ってよい。真面目に皇位の安定継承を目指すなら改正が避けられないはずの、大きな問題を抱える現行典範のルールを前提に、今の秋篠宮殿下から悠仁殿下へという皇位継承順序をそのまま維持できる範囲内で、部分的で中途半端な制度の見直しにとどまっている(ただし、天皇陛下とご年齢が近い秋篠宮殿下のご即位は現実的には想定しにくい)。

具体的には以下の2案だ。

(1)内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持する。
(2)皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とする。

(1)については、女性皇族と国民男性が1つの世帯を営むという近代以来、かつて前例を見ない奇妙かつ不自然で、多くの弊害が予想されるプランだ。

社会通念上、皇室を構成する内親王・女王と“一体”と見られることが避けにくい配偶者が、国民としての権利を保持し続ける以上、政治・経済・宗教上の活動をまったく制約なく行うことができる制度になる。

そのような制度が、「日本国の象徴」「日本国民統合の象徴」(憲法第1条)であられ、「国政に関する権能を有しない」(憲法第4条第1項)とされる天皇(および皇室)のお立場と整合性を保てるのか、どうか。およそ無理と考えるのが当たり前だろう。