時には「無茶ぶり」を受け入れる勇気を

私がそう考えるのは、自分自身がかつてそのような「無茶ぶり」で、成長させてもらった経験があるからです。フリーランスとして走り始めた初期の頃のことです。

経営企画系の経験はあるものの、金融系の知識などほとんどないときに、とある大手カード会社の経営企画部門に放り込まれたことがありました。専門知識を持つ知人のフリーランスが多忙すぎたことによる「代打の仕事」でしたが、まさか企業に対し「お手柔らかに」とは言えません。必死で勉強して、寝る間を削って集中して、1~2カ月で一通り学びました。

思い返すだけで過酷で、胃がキリキリ痛むような経験でしたが、それ以来「決済系の仕事もできます」と、胸を張って言えるようになりました。自分の仕事の領域がグンと広がったのです。駆け出し当初に、かなり「無茶ぶりの仕事」も請け負ってきたことは、その後の私の仕事の幅を一気に広げてくれました。

「やらせてください」と言い切る覚悟を

今や座学で何でも学べる時代ではありますが、やはりリスキリングで一番効率のいい学び方は、実践です。学びながら、走る。これに勝る成長スピードで勝るものはありません。

ビジネスウーマン
写真=iStock.com/Wasan Tita
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そんな過去がある私だからこそ、能力はあるのに、企業名やクライアント名、領域を聞いただけで「やったことないので無理です!」と固辞してしまう人を、もったいないなと感じてしまいます。本当は1回無理して飛び込んでしまえば、いやでも学べて、自分の領域が広がるのに……と思ってしまう。

社内で様々なステークホルダーを納得させながら、物事を進める力を養うためにも、自信のないことを「無理です、できません」とスパンと切るのではなく、「何とかやってみます、私にやらせてください」と言い切る覚悟も、鍛えていくべきだと感じています。