SNSキャンペーンへの冷ややかな目

このように、Z世代は生活の中心にあるSNSを活用するにあたって、様々な工夫をしています。

企業サイドとしては、SNS上でZ世代と接点を持つ際には、彼らにとってSNSがどういう場所なのかに常に目を向ける必要があります。特に、コミュニケーションの場であることを忘れてしまいがちですが、企業のSNSキャンペーンなどのアプローチの仕方によっては、SNSのタイムライン上のノイズになると判断され、友達とのコミュニケーションが行われていない鍵アカなどで処理されてしまうこともあります。

【生の声】企業のリツイートキャンペーンは、周りにこんなのリツイートしてるんだ、って思われたくないから、とりあえず鍵アカで参加している。

実際にこんな手厳しい声も聞かれており、企業が彼らにリツイートしてもらうことで、周りの人への拡散を期待したつもりでも、意図しない形で(しかも企業は気づけないまま)施策が終わってしまう危険性もあります。

接点を持ったZ世代のその先に存在するものは、彼らが大事にしているコミュニティでのコミュニケーションであることを、企業側が意識し、尊重することは、最新の情報をSNSで発信するよりも重要なポイントになるかもしれません。

Z世代の情報感度にも男女差は見られる

男女の境目がない時代ではありますが、私たちの定量の調査の結果やインタビューでは、商品認知から購入に至るまでの購買行動には、男女で違いが見られています。

男女で最も異なるポイントは、SNSを使った情報検索の身近さです。特にInstagramの活用については大きな差が見られており、女性の方が男性よりも様々な目的で活用していますが、特に情報収集目的での利用頻度に関しては約2倍の差が見られています。

【生の声】女性「SNSで商品紹介の投稿を見ても、本当に良いのか、他の投稿を確認しに行く」
【生の声】男性「いつも参考にしているインフルエンサーが時計のプロモーション案件の動画を投稿しているのを見て購入した」

インタビューでも、女性はInstagramをコミュニケーションから情報収集まで、幅広い用途で活用しているのに対し、男性からは「Instagramは友達の様子をチェックするだけで、検索はあまりしない」という声が多く聞かれており、コミュニケーションを目的とした用途に重きを置いている傾向が見られています。

性別を問わず「失敗したくない」という消費価値観を持っているZ世代ですが、SNSでの情報収集においては、男性はやや受動的、女性はやや能動的な実態が見られており、情報源の検討時間も女性の方が長い傾向にあります。