調べつくす女性
インタビューでも、「SNSで商品紹介の投稿を見ても、本当に良いのか、他の投稿を確認しに行く」という女性に対し、男性からは「動画配信サービスは広告が飛ばせないので見てしまう。広告は気になれば最後まで見ることもあるし、どんな商品か検索することもある」という声が聞かれており、「良い」と訴求されたものに対して素直というか、疑念を持つことが少ない様子が見られました。
実際に、男性はテレビCMでの商品との出会いや、検索エンジンでの検索行動が多く、従来の広告訴求が届きやすい消費行動が明らかになっています。
また、広告やPR投稿からの購入経験についても、女性は32.5%なのに対し男性は49.5%と差が出ており、Z世代男性の約2人に1人は経験があるという結果も出ており、女性よりも広告・PRの影響を受けやすいともいえます。
価値観や消費実態がジェンダーレスになってきている今の時代に、なぜ情報収集においてこれだけの男女差が生まれているのでしょうか。
情報収集スキルの差は「検索ワードの具体性」
それは、男女の情報検索スキルの差に起因しています。私たちはこれまでの調査で、情報収集の際に使用するワードをヒアリングしていますが、女性は「#消えそうな色コーデ」「#塩系インテリア」など、かなり具体性があり、商品名ではない造語が多く挙げられている一方、男性は「男性ファッション」や「男子美容」など、抽象的で漠然としたワードで検索をしているケースがほとんどで、男女で情報検索に使用されるワードの具体性が異なる実態が見られています。
また男性に関しては抽象的なワードを複数連ねて検索しているケースが多く見られているため、Twitterや検索エンジンに使いやすさを感じていることが考えられます。
それに対してInstagramは、一つのワードでしか検索できないというプラットフォームの建て付け上、検索ワードが具体的であるほど検索結果の精度が上がります。そのため、具体的な検索ワードを知っている女性は情報収集が快適にできていますが、定義が広すぎるワードを検索に使用している男性にとっては、求めていない情報もたくさん含まれてしまうため、SNSが効率的かつ快適な情報収集の場になっていないのです。