どんな就職先でも選び放題

「文と武のてっぺん」である東大野球部を目指す上で、多くの親御さんが気になる経済的なメリットについても触れておきます。

東大野球部の面々は、大学院への進学のほか、メガバンクやコンサルティング会社など、著名な企業へと就職・進学をしています。語弊を恐れず言えば、東大野球部に入れば、行きたいところへ就職できます。それだけの実力と経験を得ることができるからとも言えます。彼らの進路について関心のある方は、東京大学野球部ホームページをぜひご覧ください。

私が、東大野球部のスカウトをしていたとき(いまも同じ状況でしょうが)、他大学と優秀な人材の獲得合戦でした。

その際、親御さんらには「たとえ1年浪人したところで、予備校代の費用(約100万円)は、将来への投資ですよ」ともお伝えしていたくらいです。

また、東大や東大野球部に進学することは親孝行に他ならないですが、当人からしても同じ視座の仲間たちと出会い、高め合える環境に身を置くことができます。だからこそ、「文と武のてっぺん」を目指してもらいたいのです。

親の学歴や経済力は関係ない

講演などで文武両道、東大野球部のことを伝えた後の質疑応答でよくあったのが、

「東大っていっても、どうせ結局、生まれつき頭のいい人の話ですよね……」
「私には学歴がないですし、どうせうちの子も……」
「どうせ、田舎の子だから……」
「どうせ、うちの経済力では有名学習塾には通えないですし……」

という、「どうせ、どうせ……」という、後ろ向きの発言です。(ならどうして、『この講演に来たの?』と、厳しい返答をすることもあったくらいです)。

たしかに、親や親戚が東大出身だったりする家系や、有名学習塾にお金を厭わず投資できる経済環境が学歴に影響することは、データからも明らかです。

東大生の約60%が世帯年収950万円以上という結果も出ています。

横断歩道シーンに一体化した動き
写真=iStock.com/ooyoo
※写真はイメージです

ただし、見方を変えると、450万円未満の家庭からも10%以上の東大生が輩出されていることもわかります。データをネガティブにとらえるか、ポジティブにとらえるかどうかです。まして親の年収が高い子どもたちが、“確実に”東大に合格できる保証もありません。

一人親家庭で、なおかつ経済的にも苦労したというような、世間的には苦学生であった子どもたちも、東大野球部にたくさん入部しています。ですから、経済面はあくまで“ただ優位”であるというだけの話です。