連携が求められる3部門
【技術】
ダメな組織では、営業と技術の関係がよくありません。お互いに悪口を言い合っています。
特に技術側からの不満をよく聞きます。営業のどこがよくないのか技術者に聞くと、次のような答えが返ってきます。
「簡単なことで呼んでほしくない。最低限の技術的なことは営業も勉強して欲しい」「確度の高い案件かと思って同行したが、まだ検討初期段階で、技術者が出るタイミングではない」「技術的な要望やポイントがぜんぜん聞けていない」「営業が相手のキーマンと関係ができていない」などです。
営業にも言い分があります。「技術の説明がわかりにくいので、顧客が納得してくれない」。例えば、技術力はあるが、客前に出せない技術者もいます。技術者の中にはビジネスより技術的な正しさの方に重きをおくタイプがいるのです。
顧客が理解できるかどうかは気にせず、難しい専門用語を使い、自分の言い分を譲らず、ひどい場合は顧客を怒らせてしまいます。
「できる営業」は、「できる技術者」に適切なタイミングで同行を依頼し協力してもらいます。
営業レベルを超える技術的な話の場合は、「できる技術者」を連れていき、素人でもわかりやすい言葉を使って説明してもらうのです。顧客は安心して商談を進めることができます。
「できる技術者」は、相手が理解できるやさしい言葉で難しい技術の話を説明できます。そういった「できる技術者」のことを“歌って踊れる技術者”と呼ぶ会社もあります。「できる営業」はこの歌って踊れる技術者と信頼関係を結び、技術的な説明が必要な場面で協力をあおぎます。
一方で、「できない営業」と同行する技術者はしぶしぶです。普段から信頼していないので、打合せでも何となく伝播してしまいます。顧客は自然と気づくものです。
これまでのヒアリングから、「営業と技術の仲の悪い組織は業績が伸びない」という法則も分析できています。
【生産】
メーカーの営業が負ける要因の代表的なものに、価格・納期・仕様があります。
ですから、「できる営業」は生産部門に気を遣っています。信頼関係があれば、少々の無理な値引き、納期短縮、仕様変更にも応じてもらえます。クレームもうまく伝えることで、スペック改善や継続注文にもつなげ、生産部門からも感謝されます。
逆に不正確な情報ばかり伝え、迷惑ばかりかけている「できない営業」は信頼されず、頼みごとをしても聞いてもらえません。顧客の要望に応えることができず受注を逃す、という悪いスパイラルに陥りがちです。
失注要因として価格・納期・仕様ばかりを挙げる営業は要注意です。顧客との関係構築と同じくらい、社内の生産部門との関係も重要です。よい条件を生産部門から引き出せないようでは「できる営業」とはは言えません。
【マーケティング】
営業とマーケティング部門(以下“マーケ”)は、本来は連携して一心同体で協力して動くべきなのですが、あまり仲が良くないケースも見受けられます。
営業は「もっといい顧客や案件を開拓してほしい」と文句を言い、マーケは「せっかく潜在ニーズを提供しているのに、営業がちゃんと育てないから売上が伸びない」とお互いに相手のせいにします。
最新のマーケティング理論を学んでいるので、営業を下に見てバカにしているマーケ担当者もいます。そういう気持ちは自然と相手に伝わるものです。
営業は「現場の泥臭さも知らず理論だけで営業ができれば苦労はない」と、マーケが立案する施策を信じていません。「使えない机上の空論」くらいにしかとらえていないので、徹底しようとしないのです。
営業とマーケの連携がうまくいっていないと、案件開拓がうまくいかず、顧客満足度も下がります。
顕著に表れるのがセミナー後のフォローです。リストがすぐ営業に共有されているか。営業はリストを受け取ったあとのフォロー(担当の割り振り、フォロー対応等)ができているのか。このあたりは営業とマーケがしっかり打合せをして詰めておくべき基本です。
連携がとれていないと、グレーゾーンなのでお互い相手がやるものと考え、対応が遅れ気味になっているというケースがよくあります。
顧客の要望に柔軟に対処し、各部署との連携を意識する、この2つを意識して、“できる営業”を目指しましょう。