融通をきかせるには演技力も必要
とはいっても、細かいところまでルールが決められているわけではないので、判断が難しい場面もあります。しかしそういう場合でも、「なぜルールがあるのか」という基本を理解していれば、柔軟に対応しやすくなります。
普段から意識して上司や先輩に「なぜこのルールが作られたのか?」聞いてみることです。ルールが作られた経緯や減らしたいという声があることを知れば、ルールを多少外れても大丈夫な範囲がわかります。柔軟に対応したケースについても聞いてみてください。前例があれば、心配なく柔軟に対応できます。
何も考えずに決まりだからと「思考停止している営業」は、こういった質問をすることにも頭が及ばないようです。
柔軟な対応を求められることが最も多いのは、やはり価格相談でしょう。
値引きについては、社内で基本ルールがあると思います。それとは別に「できる営業」はどのくらいなら、社内で値引きが可能かだいたいの線がわかっています。部署全体の予算が厳しい締めの時期など、タイミングも頭に入れています。
例えば、お客様から値引きを求められた時に、本当はその場でOKできるレベルであっても、わざと難しそうな顔をして「なかなか厳しいレベルですので、上と相談します」と言って、いったん持ち帰るふりをします。
そして、時間を少しおいてから、「苦労しましたが、何とか社内の了解が出ました」と報告をしてお客様を喜ばせます。
あまりほめられないテクニックかもしれませんが、柔軟な対応ができることを示すために、ひとり芝居を演じていたりします。
価格相談はクロージングの山場ですが、「柔軟に対応できる営業」にとっては腕の見せどころでもあります。
柔軟に対応できるようにルールのグレーゾーンを把握しておき、いざという時には社内を説得できるよう、社内決裁ルートの関係者ともよい関係を築いておく。
「できる営業」が当たり前のように使っている賢いテクニックの一つです。
社内関係者と良好な関係を築いておこう
「できる営業」は結果を出すために、社内関係者との連携を意識しています。
社内連携が必要ということに対して反論する人はあまりいないと思いますが、実態は逆というケースがよく見受けられます。うまく連携ができていない(仲が悪い)ことは、顧客にはバレています。本人たちは意識しなくても、知らないうちに言動に出ているのです。
「できる営業」は、そのことを反面教師にして抜かりがありません。顧客に悪い印象を与えてしまうからです。結果的に案件を失いかねません。
「できない営業」は、社内でよい関係が築けていません。「うちの技術は困ったもので……」といった感じで、つい愚痴をこぼしています。
社内連携ができない会社に顧客は頼みたくありません。何かあった時に、組織的な対応をしてもらえるのか、不安があるからです。
連携が特に大切な3部門では、以下のようなことが起こりがちです。