上司同行の最適なタイミング

実は上司同行のおすすめのタイミングは「初回訪問」です。初回訪問で上司も連れて行くと伝えると、普通に配慮できる相手であれば、先方の上司も同席してくれます。

最初から上司同席であれば、担当だけでは聞けないレベルの話も聞きやすくなり、受注確度が上がります。そして、ここで面識ができていれば、何かあった時に上司から直接連絡を取ってもらうことが可能になります。

最悪なのは、クロージングで負けそうになった時に、はじめて連れて行こうとすること。営業担当が危ないと気づいた時は、ほとんど負けが確定している場合が多いものです。そのタイミングでまだ会ったこともない上司を連れて行くと言われても、用件がわかっているので先方も会いたくありません。すでに他に内定している場合、決定を覆すのは難しいので、適当な理由をつけて断られてしまいます。

初回から同行してもらっている場合は、すでに面識があるので上司からも電話やメールで状況を確認してもらうなど、援護射撃を無理なく受けることができます。

初回の上司同行で受注確度が2倍にアップ

大手メディア系G社の受託商品を販売する部署では、初回の上司同行をルール化しました。若い営業担当Sさんは最初は半信半疑でしたが、だまされたと思って言われた通りにやってみたところ、先方の上司も出てきてくれ、案件がうまく進みました。

名刺を渡す男
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すぐ効果が実感できたので、その後も可能なかぎり、初回訪問での上司同行を習慣化したところ、受注確度の高い案件の数が2倍に増えたと喜んでいました。

初回からの上司同行には他にもメリットがあります。まず、最初から上司を巻き込むのでその案件に関して、その後も気にかけてもらいやすくなります。自分が関与した案件は上司も気になるものなのです。

もちろん初回だけでなく、その後もポイント・ポイントで同行してもらう機会をつくることで、自然とコミュニケーションが増えます。接する時間が増えると、他の案件のアドバイスももらえます。進捗の芳しくない案件の相談などもできるので、受注確率が高まります。

さらに、上司の顧客への気配り、セールストークや細かい対応テクニックなども自然と覚えられるので、一石四鳥くらいの効果も期待できます。

自分ですべて一通りできるのが「できる営業」の基本ではありますが、プラスして、上司をうまく活用できるのも大切な条件です。