高齢になってもニコニコしている人にはどんな共通点があるのか。精神科医の和田秀樹さんは「大切なのは『これがしたい』という意欲だ。この意欲がある人は明るく活発的で、愛される老人になれる。一方、我慢を続けてきた人は、不平不満の多い愛されない老人になってしまう」という――。

※本稿は、和田秀樹『90歳の幸福論』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

老人ホームのとても楽しそうなティータイム
写真=iStock.com/Cecilie_Arcurs
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「これがしたい」を失うと一気に老け込む

高齢になっても、楽しそうに生きている方々にはひとつの共通点があります。

それは、「好きなことをやっている」ということ。「健康に気遣い、細心の注意を払って生きてきた」というよりは、「やりたいことをやって生きていたら、気が付けば90代になっていた」という人のほうが圧倒的に多いのです。

多少腰が曲がっていても、車いすであっても、楽しそうな高齢者は自分の意思で活発に動き、いつも明るく朗らかで、ニコニコしています。

本書でも詳しく解説していきますが、数多くのお年寄りを見れば見るほどに、つくづく高齢者にとって何より大切なのは「これがしたい」という意欲だと強く思います。

よく会社を退職した方や子育てが終わった方がおっしゃるのが、「やることがなくなってしまって、心にぽっかりと穴が空いてしまった気がする」という一言です。また、このように意欲を失ってしまった方ほど、外出する意欲などが減ってしまうからなのか、老け込むのも早くなります。

その一方で、「こう見えても忙しいのよ」「毎日やることがあって、一日がすぐに終わってしまう」とつぶやく方もたくさんいます。こういう方ほど、いつまでも元気に見えます。

これは何も気力のせいだけではないと私は思います。毎日何かしら予定が入っているので、体を動かすし、頭もフル回転させるので、心身共に老け込みづらいのでしょう。一方で、目的がなくぼんやりと家の中で過ごしている人は、頭も体も使わないので、その機能がどんどん衰えてしまうのだと思います。