料理や家庭菜園、釣り、旅行…なんでもいい

たとえば、「これまでに作ったことのない料理を作ってみたい」というアイデアが浮かんだとします。その場合、まずはレシピを調べて、材料をリストアップする必要があります。買い物に行って、材料をはかって、切って、煮たり焼いたりといった調理も必要です。その間にお鍋やフライパンなどを洗ったりすることもあるかもしれません。料理ができたら、食器を並べて、おいしそうに見えるように盛りつけて……。

どうでしょうか? 「作ったことのない料理を作る」という一見簡単なことでも、非常にたくさんの作業が必要になることに気付くでしょう。

以前からやってみたかったことだったら、なんでもいいのです。ワクワクするようなことはなんだったのかを、じっくりリストアップしてみましょう。

家庭菜園や釣り、旅行、音楽、美術館巡り……。自分がやってみたいと思うことに、思う存分挑戦してみてください。 

新しい刺激を受けて前頭葉が活性化すると、ストレスもなくなるし、気持ちも元気になります。また、新しいことに挑戦すれば体も疲れるので、ぐっすり眠れます。

愛されるお年寄りと愛されないお年寄りの壁

幸せそうに暮らしている90代は、ほぼ例外なく周囲の人から好かれる「かわいいおじいちゃん」「かわいいおばあちゃん」だと思います。

愛されるお年寄りは、ちょっとぼけていても、いつもニコニコしていて幸せそうです。素直に人の助けも借りることができるので、車いすを押してもらったり、食事などの介助をしてもらうときも喜んで受け入れます。

反対に、愛されないお年寄りは、何をするにも不平不満ばかり言っていたり、「自分でやりたい」「触らないでほしい」「年寄り扱いするな」といって拒絶反応を示しがちです。

心を閉ざしがちなシニア男性を心配する介護士
写真=iStock.com/Goodboy Picture Company
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こうした差はどのようにして生まれるのでしょうか。私自身が長年数々のお年寄りを観察してみた結果、若い頃から我慢を重ねてきた人のほうが、高齢者になったときに人へのあたりが厳しくなる傾向があるようです。