訪問先への手土産には気を遣ったほうがいい

こうした状況なので、台湾を訪れると、帰国時にはいただいたおみやげでスーツケースがいっぱいになります。帰国後はそれらをオフィスで使っていますが、おかげで身の回りのものは一気に台湾企業品に変わりました。

おみやげに限らず、ジャイアントやエイサーなど大手メーカー企業になると、本社の入り口にアンテナショップを構え、自社商品はもちろんのこと、関連グッズやノベルティなどを展示販売しています。つまり、自社ブランドのファン作りへの意識が徹底されているのです。

台湾を訪問予定のビジネスパーソン向けのアドバイスとして私がお伝えしたいのは、訪問先へのおみやげには心配りをしたほうがいいということです。

行きの空港で手早く購入した菓子折りを手みやげとしたところ、そのお返しとして何倍もの豪華なおみやげをもらい、恥ずかしい思いをしたという話を私は何度も聞いてきました。かくいう私も、かつてそうした経験をしています。

最近の日本の風潮からすれば、こうした贈り物文化を経費の無駄使いと考える向きもあるでしょう。しかし、こうしたおもてなしは台湾では礼儀として捉えられているのです。であれば、「郷に入っては郷に従え」(=中国語で「入境随俗」)を実践するしかありません。

お客に「できたてで温かいものを」と考える

台湾人のおもてなし精神が最大限に発揮されるのは、食にまつわるときと言っても過言ではないでしょう。台湾の人たちは、来客者に対し、常においしいものをご馳走したい、できたてで温かいものを食べさせたいと考えているように感じます。

例えば、以前にこんなことがありました。

台湾南部の台南市を訪れ、ある企業の社長と商談をしていたときのことです。

そのときにふと、ある食べ物の話題になり、私はそれを食べたことがないと答えました。すると、「えっ!? 食べたことないの? せっかく台湾に来てくれたんだから、すぐにデリバリーを頼もう」と言い、その場ですぐに注文してくれたのです。

その食べ物とは、台南市で養殖されている虱目魚を材料としたスープでした。虱目魚はサバヒー(英名:ミルクフィッシュ)とも呼ばれ、台湾では養殖池で育てられます。たんぱくな味わいの身にはニシンのような小骨があるのが特徴で、台南市の名産として知られる魚です。