忘年会では自社株や海外旅行、ボーナス、車などが当たる

社長が率先して行動するのは、来客時だけに限ったことではありません。例えば、会社で忘年会(尾牙・ウェイヤー)を行う際は、社長自らが忘年会会場を選び、社員たちを慰労するためのホスト役に徹します。その姿を初めて目にしたとき、あまりにも日本の状況と異なるので、非常にびっくりしました。

台湾で行われる会社の忘年会は、日本で行われる忘年会よりはるかにゴージャスです。余興として、自社株や海外旅行、ボーナス、車などが当たる抽選会も行われ、そのときは特に大きな盛り上がりを見せます。

ワイングラスを乾杯する陽気なガールフレンド
写真=iStock.com/PRImageFactory
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忘年会の豪華さによって、その会社の景況感が如実にわかるので、内容が豪華であればあるほど社員には肌感覚として業績の良さが伝わるのと同時に、豪華な忘年会を取り仕切る社長に対する評価にもつながっていくようです。

また、尾牙では社員の催し物タイムがあり、社員数が多い大企業では、自分の顔と名前を売り込むことができる絶好のチャンスでもあります。

お礼をする立場だったのに、豪華なお土産をプレゼントされる

台湾を訪れるたびに、私はいつも現地の人たちのおもてなしに感銘を受けます。なかでも世界的な自転車メーカーとして知られるジャイアント(GIANT)を訪れたときのことは忘れられません。ジャイアントは世界ナンバーワンの年間650万台のロードバイク生産台数を誇る企業です。

ジャイアントは、2011年の東日本大震災発生直後、復興のために1300台もの自社製自転車を岩手県に寄付しています。それらの自転車は、「瓦礫でふさがれて車が通れない道での物資配送や、家族や知人の安否を確認する人たちの足として本当に役立った」と陸前高田で被災した友人から聞きました。

それから2年が経過した2013年、東北の企業を中心に全国20社ほどが集まり、台湾にお礼をするためのツアーを企画しました。このとき私は訪問先のアレンジと案内役を担当しました。

日本の訪問団を連れて最初に足を運んだのは、ジャイアントでした。

日本側は震災時の支援に対するお礼をするために訪れたのにもかかわらず、ジャイアントでは社長が自ら出迎えてくれたうえに、立派な台湾のお菓子と自社のロゴマークが入ったマグカップを23人の訪問メンバー全員にプレゼントしてくれました。

このときのツアーでは、ジャイアントのほかに、高雄市政府やパソコンメーカーのエイサー(Acer)などにも表敬訪問し、お礼の気持ちを伝えています。

元々はこちらがお礼をする立場だったのに、どこに行ってもロゴ入りのマグカップやタンブラー、パソコンのマウスやボールペンなどをプレゼントしてもらいました。