台湾人は「おもてなし」が大好きだ。日台ビジネスコンサルタントの御堂裕実子さんは「台湾の社内忘年会では、自社株や海外旅行、ボーナス、車などの当たる抽選会があり、とても盛り上がる。台湾には『歓待する』という文化が根付いている」という――。

※本稿は、御堂裕実子『成長戦略は台湾に学べ』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

松山国際空港
写真=iStock.com/Sanga Park
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空港の到着ロビーに出た瞬間、サプライズが始まる

日本のクライアントの方を台湾に案内すると、まず初めに驚くのが台湾の人たちによる歓待です。

その歓待ぶりは、空港に到着したときから始まります。

税関を済ませ、到着ロビーに出た瞬間、名前入りの大きな垂れ幕や豪華な看板を用意して迎えてくれるのです。

サプライズは、その後もまだ続きます。

宿泊先のホテルに着くと、「台湾へようこそ!」というメッセージカードと共に、フルーツの盛り合わせが届くこともあります。さらに打ち合わせのために先方のオフィスに向かうと、わざわざ玄関で出迎えてくれるのです。

大企業や市政府などを訪問すると、会社案内やその地域を紹介したプロモーションビデオを見ることがあります。そのビデオには、日本語字幕や日本語吹き替えがしっかりと挿入されており、こちら側への気遣いを感じさせてくれます。日本語だけでなく、来客者の母語に対応できるように多言語での字幕や吹き替えがあるようです。

組織のトップが直々にお茶を淹れてくれる

会議室に入ると、会社名や肩書が印字された会議用席札や、日本と台湾の旗がクロスした置物を机の上に用意してくれたりもします。

プロジェクターのスクリーンに「○○社ご一行様ようこそ弊社へ」という文字が映し出されたりすると、ついつい驚いてしまいます。事前にこちら側にコンタクトを取り、失礼がないように座る位置について相談してくれたりもするのです。こうした細やかな気遣いは、日本人の感覚に近いと言っていいでしょう。

帰国する際も、訪台メンバーの1人ひとりに豪華なおみやげを用意してくれるので、いつも頭が下がります。こうした気遣いは、企業に限ったことではなく、市政府などの政府機関、協会や団体などでも共通して見られます。

台湾では、組織のトップが率先しておもてなしをしてくれるため、何かと恐縮するばかりです。会社の応接室や社長室に招き入れられると、そこにはたいてい立派な茶器が用意されており、これを使って社長が直々にお茶を淹れてくれます。