接客のプロ・水商売の女性と良好な関係性を築くにはどうすればいいか。日本水商売協会代表理事の甲賀香織さんは「モテる紳士は『君、かわいいね』とは絶対に言わない。水商売の女性が褒められて嬉しいのは、『外見』ではなく『内面』や『気遣い』である」という――。
※本稿は、甲賀香織『日本水商売協会 コロナ禍の「夜の街」を支えて』(筑摩書房)の一部を再編集したものです。
「そこまでやるか」水商売の良い店といえる条件
日本水商売協会の理念は、「店舗・働く女性・顧客・社会の四方良し」である。この4つのアクターが水商売業界を構成し、どれも重要で、それぞれに役割がある。
まず、「店舗」がなければ働く場所が確保できない。働く場の提供は、とても重要な役割だ。そして、複数名が働く店舗であれば、店という場で仲間やチームができる。
しかし現状では、働く女性を搾取の対象としてみている店がある。頑張りたいキャストに頑張り方を教えることもなく、評価制度がないため人によって報酬がまちまちだったりもする。
さしさわりのない接客をし、お客様のニーズを深く考えることもなく、法令よりも自分たちの利益を優先し、地域のイメージを汚してしまう、そんな店舗も残念ながら存在する。
では、どのような店舗が良い「店」といえるのか。我々は、次のように考えている。
・働く女性の人生を、家族の一員のように考えられる店。
・教育のチャンスを与えられる店。
・正しく、公平に仕事の成果を評価できる店。
・お客様の想像を超える「そこまでやるか!」の感動を創出できる店。
・状況に応じた適切な配置・配役をできる店。
・法令順守を徹底している店。
・店舗のある地域を大切にしている店。
これらを徹底することで、飛躍的に、長期的に成功する店舗を作ることができる。またその努力や誠実さが正当に評価されるよう、優良店舗としてのブランディングをお手伝いしていきたいと考えている。