<ブレグジットから3年が経過した英国。間違いを認めない政治家によって、ますます悪化する英経済。自ら招いた暗い未来について:リズ・クックマン>
ロンドンでの地下鉄ストライキ
写真=iStock.com/Simon Shepheard
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あの店も閉店か――。町の中心部で、店の窓が白いペンキで塗られていく。近くの店では、家族連れが毛布を大量に買い込んでいる。フードバンクは大行列だ。パブは閉店時間が早くなり、まるまる休業する日も増えてきた。

ここはイングランド北西部の田舎町ペンリス。寒くて、惨めで、数え切れないほどの問題にがんじがらめになった町だ。2月は例年よりも一段と寒くなると予想されているが、暖房も入れられないなか、人々の暮らしは一体どうなってしまうのか。

ほとんどの店が、週に数えるほどの日しか営業しておらず、営業日も午後4時には閉まってしまう。創業25年の人気パブや、18年前からある食料雑貨店も閉店した。安売り衣料品店さえも、売り上げが半減したため店を畳んだ。

サプライチェーンの問題でスーパーマーケットには、空っぽの棚が目立つ。卵がない。ジャガイモがない。Wi-Fiも入らない。

筆者はこの1年ロシアの侵攻を受けたウクライナで取材活動をしてきたが、ミサイルが降ってくる危険を別にすれば、ウクライナのほうがペンリスよりもよほど仕事をしやすい環境だった。

今年はマイナス成長へ

イギリスは多くのトラブルに見舞われている。コロナ禍の余波、インフレ、エネルギー危機、生活費の高騰、交通機関や病院のスト、食料不足、貧困と格差の拡大、ウクライナ戦争の影響、そして忍び寄る不況の影。問題は大きくなる一方のように見える。

どうしてこんなことになったのか。「犯人」はたくさんいるが、最大の原因はブレグジット(イギリスのEU離脱)と劣悪な統治だろう。