米国の「オピオイド危機」は今後も続く
ヒラリー・クリントン元国務長官は2009年3月に行われたメキシコ政府との麻薬対策協議の席上で、「私たち(米国人)の麻薬への強欲さが違法な麻薬取引をたきつけています。米国はメキシコに広まる麻薬によってたきつけられた暴力に対する責任を分担して負います」と述べた。
米国の政府と国民はこのクリントン氏の言葉をもっと真剣に受け止めて違法薬物問題に取り組んでいたら、今日のフェンタニルを中心としたオピオイド危機は避けられたかもしれない。
メキシコとの国境検問所には毎日20万台以上の車両が通過しているが、そのなかでフェンタニルの検出検査がきちんと行われているのはほんの一部だという。現場の捜査官からは、「フェンタニルの密輸を止めるのはほぼ不可能に近い」との声も出ている。米国のオピオイド危機は今後もしばらく続くことになりそうだ。