「中国人の8割が新型コロナに感染した」と発表

中国で新型コロナ感染が爆発している。

折しも1月21日から、旧正月(春節)に合わせた7日間の大型連休に突入。世界最大の移動を引き起こすとも言われる期間へと入り、農村部への帰省ラッシュが起きている。

中国・北京の人民大会堂で開かれた春節祝賀レセプションで演説する習近平氏(=2023年1月20日)
写真=EPA/時事通信フォト
中国・北京の人民大会堂で開かれた春節祝賀レセプションで演説する習近平氏(=2023年1月20日)

高齢者の多い農村部各地では、感染リスクが一段と高まった。米ワシントン・ポスト紙によると香港の専門家は、ウイルスが「国土の隅々まで行き渡ることは間違いない」と指摘している。

事の発端は、習近平政権が昨年12月8日から突如導入した、ゼロコロナ規制の大幅緩和だ。これを機に中国では、ゼロコロナ政策によってそれまで自然免疫を持たなかった国民のあいだで、都市部を中心に感染が急増した。

米CNNは、中国疾病予防管理センター(中国CDC)の主任疫学者である呉尊友氏が旧正月入りの前日、「エピデミックのピークにより、約80%の人々がすでに感染している」と発言したと報じた。中国の人口は14億人を超えていることから、事実なら11億人超が感染した計算だ。

死者も急増している。ロイターによると中国当局は、1月19日までのわずか1週間において、コロナによる新規死者数が1万3000人近くに上ったと報告している。段階的な緩和措置を怠った習近平政権の無策により、尊い人命が奪われる結果となった。

また、世界経済の回復にも冷や水となるおそれが出てきた。3年ぶりの規制のない旧正月とあって、本来ならば世界の旅行市場は中国人旅行客の復帰を歓迎できていたはずだった。しかし、感染爆発下での国境再開となり、各国は変異株の発生と流入に神経をとがらせている。

規制のない春節、中国人は「リベンジ旅行」に燃えている

旧正月はパンデミック以前、毎年起こる事象としては世界最大の移動現象であるとされてきた。今年は3年ぶりの規制のない連休期間となり、旅行需要は天井知らずだ。

CNNは中国国営放送CCTVの報道を基に、旧正月入りの前日だけでも2600万以上が旅行に出たと報じている。