誰も好き好んで丸刈りになっていない
中学生、高校生が「野球はやりたくない」と言う理由として「丸刈りになるのが嫌だから」が上位に来て久しい。また丸刈りを甘受して野球をやり切った高校生の多くが、3年夏に引退すると同時に嬉々として長髪にするのを見ても、「好き好んで丸刈りになっていない」のは明らかだ。
こうした状況の変化を受けて、今や、多くの高校の野球部が丸刈りを廃止している。同じく今春の甲子園出場が決まった慶應義塾高校など、有力校でも「髪型自由」にしている学校が出てきている。
ある学校の指導者は「今は逆に、丸刈りにしている部員がいたら、どんな事情があるのか話を聞いている」と言った。
学校の責任者の説明が不可欠
世の中はいつまでも「昭和のまま」ではない。価値観も、トレンドもどんどん動いているのだ。高校野球だけが「古き良き」ままであっていいはずもない。
「丸刈り」は、昭和の野球を標榜した若林弘泰監督の指導を「象徴している」ともいえる。
若林監督を解任させた東海大菅生高校は、今後どんな野球を目指すのか。どんな方針で生徒を育成するのかをはっきりと説明する必要があるのではないか。
選手の坊主頭に言外に語らせるのではなく、学校の責任者が明確に語るべきだろう。