日本の建設業界は人手不足が喫緊の課題になっている。ジャーナリストの澤田晃宏さんは「人手不足を解消するために、建設業は外国人技能実習生を受け入れてきたが、作業がきついわりに給料が安いため、『送り出し不可能職種』となっている。建設現場では暴力が珍しくなく、それに耐えかねた実習生の失踪も相次いでいる」という――。
※本稿は、澤田晃宏『外国人まかせ』(サイゾー)の一部を再編集したものです。
建設業で外国人技能実習生が急増
建設業界は目下、若手の人材確保が喫緊の課題だ。
建設業で働く労働者は現場の管理・監督を行う「技術職」と、現場作業を行う「技能職」に分かれるが、技能職の高齢化が進んでいる。
60歳以上が約84万人と全体の26%を占める一方、29歳以下は約38万人と11.6%にすぎない(総務省「労働力調査」[2020年平均]を基に国土交通省にて推計)。
ならば、どうやって若手の人材を確保しているのか。
建設分野に携わる外国人数は、2011年の約1万2830人から、2020年には11万898人まで増えている。
在留資格別に見ると実習生が大半で、同期間で6791人から7万6767人まで増えている。2015年からはオリンピック・パラリンピック東京大会の関連施設整備等の一時的な建設需要に対応するため、技能実習修了者を対象とした「外国人建設就労者受入事業」(2022年度をもって終了予定)がスタート。
実習終了後に在留資格を「特定活動」に変更して働く建設就労者(元実習生)も4260人いる(2020年)。再入国の場合は、最大3年以内、建設業務に従事できる。