「きつい作業のわりに、給料が安い」ベトナム人も敬遠
いったい、なぜ、建設業界に日本の若者が集まらないのか。
厚生労働省が建設会社1122社を対象に「若手の人材が定着しない理由」を尋ねた調査によれば、その理由のトップ3は「作業がきつい」(42.7%)、「(若年技能労働者の)意識が低い」(40.8%)、「現場での人間関係が難しい」(24.9%)だ。
一方、若年層の離職者178人を対象に「仕事を辞めた一番の理由」を尋ねた調査によれば、その理由のトップ3は「雇用が不安定である」(9.6%)、「遠方の作業が多い」(9.0%)、「休みがとりづらい」(8.4%)になっている。
建設業の年間の労働時間は全産業平均に比べ300時間以上長く、他産業では週休2日が当たり前となっているが、建設業では徹底されていない。
不人気なのは、日本人からだけではない。
2021年6月末時点で、実習生は35万4104人。その過半を超える20万2365人が、最大の送り出し国となっているベトナム人だ。
これまで筆者は、ベトナムの送り出し機関の幹部や、ベトナム人実習生をあっせんする監理団体を数多く取材してきた。
誰もが口を揃える3大不人気職がある。それが「建設・農業・縫製」だ。
なかでも、ハノイのある送り出し機関幹部はこう表現した。
「建設は不人気というか、もはや『送り出し不可能職種』です」
理由は簡単だ。拘束時間が長く、野外でのきつい作業のわりに、給料が安い。
同幹部はこう続けた。
「社会保険や寮費などを引いた手取りが15万円以上ないと、募集を出しても人が集まらない状況です。2、3年前までは、他業種同様に『30歳以下』や『入れ墨不可』などの応募条件がありましたが、今ではそうした条件もありません。『40歳でも大丈夫』と、もう来てさえくれるなら誰でも大丈夫みたいな状況になっています」