「もう一度美術の勉強をしてみようと思います」
後日、再び卓也さんとお話をしました。私は分析結果に補足をしました。
「シミュレーションでは働かなくても生活していけると出ました。収入のために無理に働く必要はありませんが、ご自身のために何か興味のあることをやってみませんか?」
これもファイナンシャル・プランナーとしては出過ぎたアドバイスかもしれませんが、父親の話から、卓也さんが「今のままで良い」とお墨付きを得たものと勘違いしたのではないかと心配したのです。
「私も今のままで良いとは思っていません。もう一度美術の勉強をしてみようと、探しているところです」
卓也さんは、将来的には子供に絵を教えるような仕事に携わりたいと、将来の夢を語ってくれました。
「少しでも収入が得られるようになれば、分析していただいた結果よりもさらに安心できる状況になりますよね」
卓也さんは勘違いなどしていませんでした。活動が活発になり、前向きな姿勢を見せることができれば、父親もきっと理解してくれるはずです。