「聞こえないふりをする」ときの子どもの本音

私たち親はおしゃべりです。小さい女の子はある程度は親の話を聞いてくれますが、小さい男の子はそれがあまりできません。知能が劣るというのではなく、脳の言語野の発達が女の子より遅いからです。

身体を自在に動かすための神経系統の形成に忙しいのです。そのため、言語の受容と連合野がまだうまく結びついていません。

親の小言に慣れっこになっている男の子は、ふた言目からはもう聞いていません。全体の3~10%の子どもには聴覚障害がある(男の子は女の子の2倍)のでなおさらです。

親が少し声を上げると、男の子は身を縮めてやり過ごすか、気にしないようにして、外界に対して障壁を作ってしまうため、私たち親は無関心なのだと受け取ってしまいます。そんな時は、ちょっと体にふれてあげると、注意を喚起することができます。

ところで、私たち親は、物事がうまくいくように子どもに四六時中指図をしています。1日に何回指図しているか数えたことはありますか? 紙と鉛筆を用意して、1回言うたびにメモしてみてください。結果はどうでしたか?

子どもの心の声

あれしなさい、これしなさいって、いつもいつも言われるのにはうんざりだよ。まるで赤ちゃんみたいじゃないか。

親の指図は「自分への過小評価」と感じる

指図をする親の意図ははっきりしています。「すべきことを言ってあげないと……」。子どものほうはそこから、「自分ではすべきことがわからないから親に言われるんだ」というメッセージを受け取るため、自分は過小評価され、責任を負えないと感じて、やる気をなくしてしまいます。

イザベル・フィリオザ『6~11歳 子どもの気持ちがわかる本』(かんき出版)
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確かに緊急の場合は、指示に従うことが大切です。しかし、そうした極端な場合以外、指示や命令は逆効果を生むだけです。

7歳~10歳の子どもが、本来はルールが好きで、適切に行動できるということを思い出してください。わざわざ反抗心を呼び起こす必要があるでしょうか?

また、私たち親は良かれと思って長いお説教をする傾向も見られます。私たちは子どもが「理解すること」を願っていますが、子どもは途方に暮れてうんざりし、注意を向けなくなります。

すると親は、わからせようとして、子どもに自分が悪いのだと思い込ませます。子どもはうんざりして、せいぜい恥ずかしいと思うかもしれませんが、やる気を起こすことはまずありません。私たち親が望んでいるのは、子どもに罪悪感を抱かせることではなくて、学んでもらうことですよね。