子どもはなぜ「かんしゃく」を起こすのか。心理療法士のイザベル・フィリオザさんは「それはホルモンによる身体の緊張が原因であることが多い。つまり身体が命じるように、爆発してしまう。そのことがわかっていれば、親も正しい対処ができるようになる」という――。

※本稿は、イザベル・フィリオザ『6~11歳 子どもの気持ちがわかる本』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

パンチしようとしている男の子
写真=iStock.com/ViktorCap
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子どもはなぜ「かんしゃく」を起こすのか

子どもが病気になった時、皮膚の発疹が消えただけでは安心できませんよね。細菌が原因なら、それを退治しなければなりません。

子どもが高熱を出したり発疹が現れたら、「どうしたんだろう?」とまず考えますよね。

同じように、原因に取り組まずに、子どもの好ましくない行動をなくせると考えるのは幻想です。見方を変えてみましょう。

もし子どもの態度や行動が症状だとしたら? 不適切なあるいは困った行動を前にして、病気の時と同じ質問をして原因を探してみましょう。「どうしたんだろう?」と。

ヒント

最初の答えは「ストレス」です。子どもの攻撃性、逃避、行動不能は、脳がストレスを受けていることが表に現れたものです。これは、どんな罰を与えても治りません。

子どもの脳の中では何が起こっているのでしょうか? 扁桃体へんとうたいと呼ばれるアーモンドの形をした小さな組織がホルモンの洪水を起こしているのです。

これが状況に応じて闘うか逃げるか(闘争・逃走本能:生物が恐怖や危険に対する生理学的反応として、生存のために闘うか逃げるかの準備を整える反応)を命令します。心臓の鼓動が速まり、猛然と走ったり殴ったりするために、血液が糖と酸素を手足へ送り、筋肉は緊張します。

子どもはこの身体の緊張を感じ取って、時に爆発するのです。つまり身体が命じるように、闘ってしまうのです。